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ノースマン 導かれし復讐者のjomdのレビュー・感想・評価

4.0
おとぎ話ではあるが、バイオレンスでダークでグロテスクでアーティスティックでありめちゃめちゃ面白い一作。

激しい恨みというのは復讐でしか晴らせず、事実が異なったとしても一心不乱に煮え切った怒りは正論では解消のできない。

激しい怒りの火を心中に燃えたぎらせた主人公の表情、雄叫びに心が持っていかれる体験はそうない。

『ウィッチ』『ライトハウス』を撮った監督なだけあって、どこを切り取ってもうっとりする画作りで不気味で好奇心くすぐられるおとぎ話となっている。

今年一年の漢気はもう摂取できたかなと思うくらいの漢感。ムンムンしている。

なのにすごいザラつきのあるドライなタッチが良い。

長尺ではあるのが少しネックではあるが、劇場でとてつもない世界に振り回される体験だった。

暗闇のシーンも多い、劇伴も良かったのでドルビーシネマで見たかった。

復讐では何もえられないという綺麗事が蔓延しているが、結局復讐でしか拭いきれない怒りはあるのである。
そんなこと言える人は大して心から怒ったことのない平穏な人生を歩めている幸せな人なのである。
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