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ノースマン 導かれし復讐者のIDEAコメント休止中のレビュー・感想・評価

4.0
「イーサン・ホークじゃなくてイイじゃん!」
荒れ狂う海原、暗がりを照らすかがり火。
序盤の画面の暗さときたら。
復讐の旅路に通ずる序盤のみの登場で顔もしっかり見えないのに、イーサン・ホークを配置する意味があったのだろうか。
いや、ない。

妙にキャストが豪華な今作、『ウィッチ』『ライトハウス』に続くロバート・エガース3作目の監督作品だ。
『ウィッチ』からはアニャ・テイラー=ジョイがカムバック登板、復讐に燃える主人公を助ける可憐な女性を好演している。
『ライトハウス』からはウィレム・デフォーが続投。不気味な呪い師(?)のおっさんをキモチが悪い感じで熱演。
どちらも唯一無二の存在感である。

さて、実写版『ヴィンランド・サガ』(※)と思わなくもない今作、とにかく世界観作りと画力(えぢから)の強化に余念がない。
ヴァイキングの復讐譚に北欧神話のエッセンスを混ぜ合わせながら進む物語は、荒々しくも美しい観る者を魅了する作品となっている。
(※)『ヴィンランド・サガ』は幸村誠氏による日本の漫画。ヴァイキングだった青年が"本当の戦士"になるさまを描く叙事詩的作品。超絶おすすめ。

ロバート・エガース監督の過去2作は、実に限られた層にしか興味を持たれないようなシュールな作風を確立していたが、今作ではエンタメ性に大きく舵を切っての船出となった。
ロールプレイングゲームをしているような展開に、ハマる方はとことんハマるだろう。
特に終盤の火山での決闘シーンは早々お目にかかれない趣きがあり、アクション映画ファン必見である。


一般公開から遅れること1ヶ月少々、地元のミニシアター、シネマルナティック様で嬉しい上映開始!
しかしパンフレットの入荷がなく、戦に負けたヴァイキングのように手ぶらで帰宅したのであった…。