てっちゃん

ノースマン 導かれし復讐者のてっちゃんのレビュー・感想・評価

3.7
なんだかものすごく、濃厚こってり脂ましまし濃いめ作品を観たいときってありますよね?
、、ありますよね?

っていう理由と、なんと!本作はロバート・エガースさんが監督脚本ということで、映画お好き界隈では注目されるべく作品ですよね、、ってことで鑑賞しました。

本作を観て、マーベル作品を観ていて良かった!と思いましたね。
特にソー周辺の北欧神話系の用語なりは聞いたことがあったので、戸惑うことなく世界観に入り込むことができました。

というわけで、いつもの口上の後の感想です。

とにかく男の裸体が拝めまくります。
筋肉隆々の男たちの肉体美を拝めるだけで、ありがたい限りなのですが、その肉体美は所謂、マッチョイズムたるマッチョであるので、お腹いっぱいになると同時にその肉体がぶつかり合う様によだれが滴るのです。

思わず肉体美が先行してしまいましたが、本作屈指のポイントは"本物感"ではないでしょうか。
ロバート・エガースさんの前作"ライトハウス"でも感じていた、世界観づくりはんぱないっすってやつです。

本作でもその世界観づくりは徹底しており(大資本が投入されるようになったというのが大きいですよね)、その完成度には本作パンフに書かれているが、歴史学者の方が唸るほど。

とにかくスケールでかい!、汚い!、ドロドロ!、きちんとグロい!、衣装がすごい!、人が多い!、ロケハンすごい!、汚い!(2回目)といった感じです。
なので没入感は尋常じゃなく、これは劇場で観ないといかんやつ。

あとですね、"おなら"がやっぱり笑えるんです。
前作でもあったけど"おなら"はやっぱり面白いですよね。
面白いですよね?

今回はシネコンで観たけど、たぶんくすくすなってたのは周りでは自分だけでした。
絶対笑っちゃうのに、なんでみんな我慢できるんだろ?

物語はまあよくあるやつなので(ハムレットが下敷きにあるとか。ハムレットを存じ上げないのでなんとも申せないですが)、多少迷子になりつつも(いきなり状況が変わったり、この儀式はなんぞや?とか、これは何の比喩なのだ?とかあったりする)、ド派手で本物の世界観に圧倒されていくことでしょう。

とはいえ、スケールが大きすぎるが故に登場人物たちがそのスケールに飲み込まれていき、私にはあまり魅力的にうつる人物たちが皆無でした。
というかそれをわざと作り出している感はあって、善悪を分かりやすく描いているわけでもない本作だから、そこに感情移入しにくいのは当たり前かも。

あと当時の男女差別を描いているので、そこが引っかかりになってしまうかもしれない。
少なくとも私は、そこに引っかかってしまったし。
そこにもっと理解ある人物を出してもよかったんじゃなかったのかなとも思ったり。

名シーンは、スカルスガルドさんとアニャさんの温泉シーン。
絶景すぎる山を見て登りたい!と思い劇場でYAMAPを開こうとしたし、気持ちよさそうな温泉に入りたい!と思い銭湯カバンを探してしまったし、ここにいたら自分ならこうする!とシミュレーションもしてしまったし、、そんな気持ちになる名シーンでした。

ともあれ、ロバート・エガース監督さんが、次のステップへ進んだのではないでしょうか(本作が劇的な成功をおさめているのかは別として)。
次はどのような作品を考えているのだろう。
そんなことが気になってしまうあたり、やはり素晴らしい監督さんですよね。

あ!パンフも完成度高く、読み物としても非常に満足度が高いです。
本作みたいな世界観はんぱない作品で、きちんと歴史的背景や、真面目で的確な解説、インタビュー等が載っているので、かなりおすすめです。
てっちゃん

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