スペクター

ノースマン 導かれし復讐者のスペクターのレビュー・感想・評価

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ハムレットの元ネタ。狭い世界で巻き起こる人の狂気、そこから巻き起こる幻想を描いてきたロバート・エガース。

過去作品にはないスケールだけど、そこは失われていない。リアリティーと北欧神話世界が同居する。

鎧を纏っていないリアルなヴァイキングの戦士、ウルフヘズナルやベルセルクを見れたのが個人的にはグッド。 裸に近い姿こそ勇猛果敢な証とされていたんだけど、現代人には理解しがたいよね。

ヴァイキングとスラヴ圏は切っても切れない関係にあるという歴史的事実、またキリスト教以前の世界も描いていて世界史好きにはたまらない。
あとロケーションとセットも素晴らしい。あの暗くて汚い感じが本当にこうだったんだろうなというリアリティーを醸し出す。

最後ら辺でアムレートが知らなかった事実が明かされて、自分が見たもの、信じていたことは勘違いだったと思い知らされる。けど、ハムレットと違って悲劇に終わらないのは復讐のときに親しくなったオルガとの恋、そしてその先が見えたから。

このオルガってもしかして後にキエフ(キーウ)大公国の妃になる聖オリガのことかと後半から思った。妊娠した子どもは後に王になるとか言っているし…。
まさかのウクライナを影で応援する映画?

制作費(約70億~90億円)に対して興行的には失敗したらしいけど、内容的には面白い。ロバート・エガース監督は高い評価を受けたみたいでもう新作が決まっているとか。

まさに映画館で見て正解の映画。
あとアニャ・テイラー・ジョイのフルヌードに興味のある方、おすすめです。
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