現実に起こった誘拐殺人事件を取り上げた作品ですが、映画というより、ノンフィクションドキュメンタリーのような作りに感じました。
事件そのものが、まだ容疑者が否認し続けているという「終わった」事件でないというのが一因なのかなと思います。DNAがいくら一致していても、否認状態で動機もなにも不明な状態では、あのときは実は…という描き方は、それはできないでしょう。だから、起承転結、こんな事実が、という驚きも納得も得られません。
奇抜で強引な、けれどそれしかないだろうという捜査方法に、日本では無理だな…と驚かされるというような、外部から眺める感覚しか得られなかったのはちょっと残念でした。仕方ないのですが。
雪の降る夜の光景や、模型飛行機で見せる街並みや自然の美しさなど、映像が所々とても美しくて、その見ごたえはありました。事件の被害者の少女が、ほんとうの意味で安らいで眠れる日が来てくれることを祈るばかりです。
