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黒い家のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

黒い家(2007年製作の映画)
4.7
生命保険会社の査定員チョン・ジュノ(ファン・ジョンミン)はある日、「自殺の場合、保険金は受け取れますか?」と訪ねる女性からの電話を受ける。
その様子に自殺の可能性を感じたジュノは、彼女を引きとめるために自分の名前や、弟が自殺した過去を語る。
数日後、ジュノはパク・チュンベ(カン・シニル)と名乗る男から連絡を受け、自宅を訪問。そこでジュノは首吊り死体を目にする。
遺体はチュンベの義理の息子だった。彼の不審な態度から殺人の疑いを抱くジュノだったが、警察は自殺と断定。
後日、ジュノはチュンベの家の前で妻シン・イファ(ユ・ソン)が遺灰を撒いている姿を目撃。彼女は足に障害を持つものの、チュンベには不釣合いな美人だった。
保険金請求書を受け取ったジュノだったが、殺人の可能性を払拭できないことから、会社に保険金の支払いを待つように指示。
チュンベは自分の親指を切り落として保険金を請求、“指狩り族”としてブラックリストに載った過去があったため、会社も支払いを保留。
すると、彼は毎日のように事務所を訪れては支払いを催促するようになる。
ほぼ時を同じくしてジュノの自宅に、踏切の音のする無言電話が続く。
チュンベ宅の傍に、踏切があった事を思い出して背筋を凍らせるジュノ。ジュノの身を心配する恋人チャン・ミナ(キム・ソヒョン)は、彼に心理学者を紹介。
学者はチュンベの異常性を指摘し、関わりを持つことは注意した方がいい、と忠告する。
一方、会社はチュンベへの保険金支払いを決定。チュンベがイファにも保険金をかけている事を知ったジュノは、匿名の手紙で彼女に離婚もしくは保険を解約することを勧める。
しかしその直後、ミナの愛犬が惨殺され、件の心理学者が他殺体で発見される事件が立て続けに発生。さらに、チュンベが事故で両手首を失う。そして、その保険金請求に現れたのはイファだった……。
ジュノは、イファが会社を訪れる前にイファの過去を調べたところ、イファの前の夫が次々と傷害保険金か死亡保険金を受け取っていたことが分かり、死因を調べたところ不審な点があることが分かった。
ジュノは、カマを掛けるためイファに問いかける。「あなたがやったんですか?」「余計な真似は、しないで」
貴志祐介のサスペンス小説の韓国映画版。
日本版は、ブラックコメディの域までいっていて賛否両論だったが、韓国映画版は一味違う。
保険会社で査定員をやっているジュノは、幼い頃に弟が目の前で自殺して父親が亡くなって家族にかけられた生命保険金でどうにか生きることが出来た経験と自殺した弟に対しての罪悪感を引きずっていることから、契約者に対して性善説で情に走りがちな甘さから、人の心がないサイコパスのチュンべとイファ夫婦の保険金殺人の真相になかなか気付けない地獄めぐり、特に共感能力に欠ける人の心がないチュンべとイファ夫婦の血が通っていない冷酷さ、「チュンべが野球選手の使うコールドスプレーで冷却して板金用切断機で切断」「生きたまま瞼を縫う」などのスプラッタ描写の容赦ないグロさ、幸薄い美女から冷酷な悪女に豹変するイファのギャップあり過ぎな豹変ぶり、日本版より容赦ないサイコパスのスプラッタホラー映画。
「この人には心がない」
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