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とら男のnanaのレビュー・感想・評価

とら男(2021年製作の映画)
3.8

犯人が解っているのに捕まえられない悔しさ

理不尽な上からの圧力で事件から外されてしまった元刑事のとら男。

このとら男を本物の西村虎男さんが演じている


※スイミングコーチ殺人事件
1992年10月1日
金沢市三十刈町で起きた「スイミングコーチ殺人事件」
当時20歳の女性コーチの絞殺体が本人所有の車の中で発見される。

犯人と噂される人物は現存したまま事件は2007年7月に時効成立。
未解決・迷宮入り事件となる。


実際に起きた殺人事件を本物の元担当刑事が自費出版した原作を元に映画化

リアルすぎるというより本物のリアルなサスペンスなのでストーリー的な内容にはネタバレ無しで一切レビューで触れない事にしますm(_ _)m
ストーリーについては是非作品で。

会話のシーンはリアルな感情からの言葉を引き出すためにあえて監督が台本は作っていない。

とら男演じる西村虎男さんが素人に見えない。
顔力がありベテラン俳優のような風格。

遺体に付着した植物をきっかけに出会った女子大生とのバディ物だが、女子大生の事件への執着がやや変態に近いくらいこの事件に取り憑かれて行く様が映画的。

こんなに執拗に追い詰められたら関係者は辟易するだろうと言うくらい真実に近づこうとする。

それほどこの未解決事件はドラマ性があり理不尽である。


女子大生の面接での言葉ととら男の人生がシンクロする。

この事件に関わって拘り33年の刑事人生を終えた西村虎男さん。
逮捕は出来なくてもこの作品を通じて調べあげた事実を世に出せた事が被害者と遺族の方の無念を少しでも和らげている事を祈りたい。




~~~~~舞台挨拶~~~~~

村山和也監督
虎男さんに会って顔が良かった。
実物に近づける事がいいと思った。
だいぶ虎男さんを公開まで待たせてしまった。
この映画は僕しか世界で作りたい人はいない。
撮影監督が去年亡くなってしまったが彼に届けたい。


西村虎男さん
全てが初めての経験
3日4日経つと映画の撮影は面白いと思った。
警察を定年退職する時に目的を持った。
電子書籍を作ったことで監督が自分に声をかけた。
事件を作品に作りたいというのが監督と一致した。
映画の世界を知りたいという興味もあった。

加藤才紀子さん
虎男さんとのシーンは台本が無かった。
虎男さんが演技の経験が無いので自然にさせるように努力した。
虎男さんが実際に事件に関わっているだけあって重みがあった。(表情など)

緒方彩乃さん
朝7時頃からお昼頃まで泳いでそれから普通の撮影をしたのでハードだった。




舞台挨拶で見る西村さんは思ったより小柄な方。
スクリーンでの迫力が彼を大きく見せている印象で、上映終了後もお客さんの質問に答えたり丁寧な方でした。
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