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とら男のmotyのレビュー・感想・評価

とら男(2021年製作の映画)
3.7
未解決事件の真相に迫る元刑事と女子大生によるミステリー。事件自体は実話(1992/金沢女性スイミングコーチ殺人事件)。担当刑事自身が本人役を演じている(西村虎男氏)。

まず、撮影がとても美しい。このルックが本作の世界観に合っており、しびれました。撮影監督はお亡くなりになったようで残念です。

そして、構成が素晴らしい。ドラマパートとセミドキュメンタリーの交錯具合もよい。ラストシークエンスの脚本は特に秀逸。

今回、この演出手法を見て改めて感じたのは、全編ドラマ(フィクション/俳優)でしか到達できない高みが、実話映画化には、やはりあるのではないかということ。

監督の手腕や行動力にはただただ敬意を示すが、ミステリーとしては、もうひとつ没入できず、真相解明プロセスにも共感や爽快感を(純粋には)感じ取れず。

もし、本作を同監督が全編劇映画としてセリフリメイクしたならば、『殺人の追憶』に迫る傑作になるかもしれないと、勝手ながら感じた次第。
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