EDDIE

ハッピーエンディングスのEDDIEのレビュー・感想・評価

ハッピーエンディングス(2021年製作の映画)
4.2
映画の無限の可能性を見出した2部構成の即興劇。1部は榛名湖を舞台に大人の男女が恋愛ですれ違う模様を描く。2部は高校生男女が“はじめて映画を撮る”話を軸として、同じ方向を目指してもすれ違いが生じる人間関係の難しさを表現。面白い!

〈ポイント〉
・役者たちの即興演技で構成される2部構成の作品
・人間のすれ違いを“こう表現するか!”というわかりやすさと面白さ
・2部“はじめての映画”でゼロから映画作りを楽しむ高校生たちの姿が微笑ましい
・『ベイビーわるきゅーれ』の髙石あかりの喜怒哀楽の演技を堪能せよ!凄い

〈雑感〉
ここ最近、特に2022年1月公開の新作は傑作が多く、本当に映画好きとしては最高な1ヶ月になっています。
そんな中、『ベイビーわるきゅーれ』で好きになった髙石あかり出演の新作があるということで、本作を観に行ってきました。
“役者たちが即興演技をしている映画”という前情報のみで鑑賞しましたが、これが実に面白い技法でした。
映画の新しい楽しみ方を教えてもらった、という感覚。
特に2部の高校生たちが思い付きで「映画作ろう!」って盛り上がって実行に移していく一連のシーンは、観ている最中こちらもずっとワクワクしていて、久しぶりに変な考察とかすることなく純粋に楽しい映画を観ているという感覚でした。たぶんずーっとニヤけながら観てました。

1部“#1 鳥を見にいく”と2部“#2 はじめての映画”は別監督ではありますが、話としては繋がっており、その繋がりがわかってからは更に自分の中の評価が急上昇。
実は最初は「この物語はどういう方向に向かっていくのだろう…」と不安を覚えながらの鑑賞でした。
ただ人間が目にする瞬間、交わす言葉、一つひとつの細かい事柄だけで大きくすれ違いが起きてしまう。それがじわじわと起きていくのが1部でした。

そして、2部は高校生の仲良し4人組が映画作りに興じる物語の軸があります。
同じ方向を向いて、しかも役者たちが本当に仲良さそうで楽しそうに議論を重ねるシーンは楽しくて楽しくて。青春の1ページを覗き見た感覚です。
だけど、そんな同じ方向を向いていたにも関わらず、一つのきっかけでボタンの掛け違いが起きてしまう…これも実にリアル。
最高に楽しい瞬間から居心地が悪い苦しい瞬間まで、若い役者たちが全力の即興演技を見せてくれました。
終盤の髙石あかりの“泣き”のシーンはその瞬間こちらまでもらい泣き。本当に凄まじかったです。

本作は現在クラウドファンディング中だそう。MOOSIC LAB[JOINT]2021-2022にてお披露目して、劇場での本公開に向けて、大崎章監督と井上康平監督らが本作を広める活動を頑張っています。

https://motion-gallery.net/projects/happyendings

〈キャスト〉
あやめ(北浦愛)
つぐみ(中尾有伽)
鴻太(木口健太)
隼人(細井じゅん)
鵜飼(日高七海)
キョウヘイ(下川恭平)
アカリ(髙石あかり)
イオリ(和田庵)
マリン(西本まりん)
タマミ(日下玉巳)

※2022年新作映画16本目
EDDIE

EDDIE