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沈黙の情景のmingoのレビュー・感想・評価

沈黙の情景(2021年製作の映画)
4.1
ドキュメンタリーとエクスペリメンタルの間を真っ向に突き進む傑作。生き物や島の固有のモノを捉えたバストアップのフィックスが基本ながら音に沿ってズームアウトや見せ方は様々。潮の満ち引きによって世界が「慣性の法則」で成り立っていることを静かにみせる。すべて「海」という偉大な存在に飲み込まれ人が介在する場所が薄れ現代社会における人の立ち位置・現在地点も分かる。とりわけ凄いのは後半強めに演出されるサウンドスケープによって採集された音。日没のシーンでの語りで全く人里離れたリゾート地から「労働者」の話や「政治」的な話題まで飛ぶのはこの映画が内包している題材から。この後に観たアランセクーラ「忘れられた空間」と地続き。

ミコレベレザ、カロリーナフシリエルビデオレターメモ2022.4.30

沈黙の情景。今メキシコは夜中でインターネットが止まるのでビデオレターでお送りします。今はカパ・ルポという島にいるが実験的に撮影をしている。コラボのスタートはカロリーナがインディペンデントのモノローグをコロナ禍で書いたが予期しないところで都市空間が死んでいるというフェイクニュースをもとに記事を書いた、ロックダウンの間色々なところへ出掛けてインスピレーションを受けた話として海の中から両生類が観光客が訪れるところを行き来するという短編を韓国のACCを通して制作したがそれがもとになっている。ビーチにもう少し長居するために制作を広げた、トピックに対して語り合う対話から制作がスタートするスタイル。沿岸沿いのアカプルコに焦点を当てた、マニラとアカプルコを結ぶ航路を結ぶ興味深い場所。フィリピンとアメリカの関係、ハリウッドも関係が深い。ターザンやオーソンウェルズの上海から来た女、ランボー3などもここで撮影されている。50年代はホテルやリゾート地で栄えた、スペインの港町であったがアメリカのロケーションの地として変貌していく。80年代になると麻薬などの犯罪問題が出てくる。アカプルコは廃墟というのに注目したが未だに観光地なので至る所からガンガン音がなっている、サウンドの採集と選択。電磁マイクや金属表面を接着拾うマイクなどフィクション部分の音を制作していった。廃墟をどんな風に蘇らせるか、パイプの音を拾って呼吸音にみせたり、木の椅子を食っているシロアリなど息遣いの音を沢山撮っていった。人が居なくなり、居たという証拠。ラテンアメリカらしいテキストを書いた。
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