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四畳半タイムマシンブルースのhoshのレビュー・感想・評価

3.5
『四畳半神話大系』はアニメ、原作ともに生涯ベスト級に大好きなので、同窓会に行くかのような気分で鑑賞。ほぼ満席でなんかうれしい。もちろん、とっても楽しんだ。

ただ天才、湯浅政明監督が抜けているので思わず唸らされるような奇抜な映像表現や、あの独特の閉塞感は後退していて、スッキリポップな見やすい青春映画になっているなと感じた。同じようで同じでない。「よく出来た公式同人誌」的。

そこに少しの寂しさはありつつも、魅力激増の明石さん、小津を始めとした相変わらず最高なアイツら、音楽、第2の主人公京都、主題歌のアジカン、と大好きな世界観に存分にひたることができた。無駄な日常の贅沢さ、尊さに気づかせるポジティブさも変わらずでうれしい。明石さん、今回もほんとに全シーン釘付けでしたよ。

惜しかったのは伏線とタイムトラベルのシステムに縛られすぎているように見えた点かな。「私」のあの魅力的な独白語りが設定の辻褄を合わせるための状況説明に使われているシーンがやや多かった気がする。それによって自由闊達さが魅力だった本シリーズの雰囲気を少々窮屈にしていると思ってしまった。これは『サマータイムマシン・ブルース』の味なのかな?

でも観てよかった。またみんなに会いたいので、森見登美彦ユニバースの拡張をのぞみます。
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