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ヨナグニ~旅立ちの島~のKUBOのレビュー・感想・評価

ヨナグニ~旅立ちの島~(2021年製作の映画)
4.0
なんというか、個人的にとても馴染みのある話で、食い入るように見てしまった。

人口1500人の与那国島。島固有の言語「ドゥナン」は絶滅危惧言語に指定され、若者には継承されていない。

島には学校は中学までしかなく、中学卒業と共に少年たちは島を出る。

実は私は毎年宮古島で夏を過ごす。1ヶ月〜2ヶ月というタームで滞在するようになって10年以上が経つ。

やはり同じように宮古の言語「みゃーくふつ」は絶滅危惧言語だし、我が島の友人はこの「宮古口」を守る運動をしている。

宮古には高校はあるが大学はない。やはり18になれば島を離れなければならず、私が数年前に島で教えた生徒たちが今東京の大学で学んでいる。

人口50000人の宮古島と1500人の与那国島では規模の違いはあれど、この作品から伝わってくるテーマは、私が宮古で長年感じてきたことと全く同じだ。

だから、スクリーンの中の素直でまっすぐな島の子供たちが、私が島で教えた子供たちと重なって、我が事のように感じた。

この与那国の中学生たちののびのびとした様子が自然に撮られているのが素晴らしい。

上映終了後のQ&Aで、イタリア人の監督さん(2人)に、子供たちとのコミュニケーションも含めてどうやってこんな自然な絵が撮れたのかうかがったが、子供たちの家族とも時間をかけて仲良くなり、お互いの信頼を得た上であの絵が撮れたのだ、というのだから素晴らしい。

この作品で、日本をテーマにした作品は3作目だということだが、イタリア人の監督が、日本の最西端の島「与那国」の言語に着目し、その島で生まれた少年少女が島を旅立つ日までを追った、心温まる感動のドキュメンタリー!

この作品を見て、それぞれの離島が抱える、「言語が失われつつある」という問題に、多くの人が気がついてくれたらうれしい。
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