回想シーンでご飯3杯いける

ワタシが"私"を見つけるまでの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.0
中国の一人っ子政策を扱ったドキュメンタリーとしては、先行してamazonオリジナルの「一人っ子の国」があって、あっちは子供を捨てざるを得なかった社会的背景や親の葛藤を軸にした作品になっている。それに対して、こっちは養子縁組でアメリカの家庭に引き取られた少女達が、自らのルーツである中国に向き合う姿が捉えられている。

中国で一人っ子政策が取り入れられていた時期に、それなら後継ぎとして男児を育てたいと考えた親が見捨てたのが生まれたての女子。本作を観るだけでは、その経緯があまり描かれていないので、少女達が何故アメリカ人の養子にならなくてはいけなかったのか理解できないように思う。そこが残念な部分。

背景の部分を抜きにして、アメリカに住む少女の現在を知る作品としては、非常に貴重な作品だと思う。本作に登場する3人は、とても親切な家庭に引き取られ、幸せに暮らしている。

3人の中の一人が「自分が中国人であるという意識を持った事が無かった」と言っていたのが印象的で、つまりは差別等を受ける事無く、アメリカ社会に溶け込んでいるのだろう。また、親探しを始めるきっかけとしてインターネットを利用する等、彼女達の若い感性に希望を感じる部分も多かった。

一人っ子政策最大の問題点は、本作後半で描かれる、子供を捨てた親が感じている喪失感と罪悪感にあるのだと思うので、それを知るには本作は情報が不足していると感じる。

ところで、2016年のロマコメ作品と全く同じ邦題を付けるNetflix Japanのセンスはいったい何なの?