Yoko

イニシェリン島の精霊のYokoのレビュー・感想・評価

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)
4.2
マクドナー監督前作『スリー・ビルボード』からもう5年経ってるのか…。

一見しておっさん同士の仲違いなんかで一作出来上がるもんなのかと眉をひそめていたが、いやはや良作でした。
20世紀初頭アイルランドの離島。娯楽と言えばパブで飲んだくれるかというくらいの原始的コミュニティにおいて、友人関係は現代のそれ以上に死活問題(そして噂話)。
なんか間抜け顔のコリンファレルは今回適役。特に何か取り柄という取り柄もない人の長ったらしい無駄話が、やることがあって時間がもったいないという人にとっては相当な障害だという。これ双方の気持ちが痛いほど分かる。実際自分もサークルでファミレスで長居してロスタイム長すぎるだろという不満が顔に出ていたことが多々あった。とは言えその友人が嫌いになるという訳ではなく、ただただこの時間本当に無駄だなという気持ち。しかし今となってはそんな無駄とも言える時間がかなり貴重な暇つぶしだったことに気づく。
さておき、話しかけてくるんじゃねぇ!だったら俺はこうしてやる!という手段の過激性は流石。日本のヤクザ顔負けだろこれ。
科学知識もまだ乏しい社会における謎老女の死神感も最高。三途の川もとい、湖越しのシルエット。島民からは冥界の番人だと信じさせるオーラが半端なかった。
ただ一番の被害者はバリー・コーガンでしょ。道化ほど失恋とかのショックでマジで応えるでしょ。本土でよろしくやってるコリンファレルの妹の対比も相まってかなり鬱展開でした。
この後味の悪さも最高でした!
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