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イニシェリン島の精霊のQIのレビュー・感想・評価

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)
4.0
“niceなことは残らない?”

ある日突然親友から絶交を言い渡された主人公がわけも分からずオロオロするメタ満載の寓話的コメディ

そしてチョッピリホラー😱

コリン・ファレル
ブレンダン・グリーソン

元親友二人の演技が素晴らしすぎる!

二人の間に交わされる言葉とその表情、そしてその振る舞いから過去の二人の関係が手に取るように伝わるだけに、ことの成り行きから目が離せなくなり物語にグイグイ引き込まれてしまいました。

ケリー・コンドン

二人の間に起きた出来事をきっかけに自らの生き方を変えていくまでの心の動きがとてもリアル

バリー・コーガン

少しいっちゃってる系?の演技をさせたら彼の右に出る者はいないんじゃないかと思わせるそのハマり具合は間違いなく当て書きではないかと…

そんな彼が一番まともに見えてくる不思議w

それ以外のキャラ立ちした島の住人たちを演じる俳優たちも皆とても印象的

大の大人の喧嘩だけをひたすら描いてここまでの物語を成立させてしまう脚本の素晴らしさは、そんな出演者全員の演技に支えられていると思います。

二人の諍いが対岸で起きている内戦と対比的に描かれているのは間違いありませんが、島の住人たちにとっては文字通り対岸の火事

対岸よりも島の中で起こった二人の内戦に興味津々な彼ら

閉鎖された空間と全員が顔見知りでプライベートも存在しないようなコミュニティ

そんな環境と状況の中、ちょっとした出来事によるバランスの変化から生まれる様々な思いと行動

これまで人生をどう生きてきたか?

そこに自分が残してきたものはあるのか?

残された人生をどう生きていくべきか?

人生には“nice”なもの(こと)がたくさんあるのにそれだけではだめなのか?

素晴らしい脚本と出演者達の演技を堪能するとともにそんなことを考えてしまう深い余韻を残す作品でした。

p.s.
🐴🐶の演技?もアカデミー賞ノミネートレベルw
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