レオン

イニシェリン島の精霊のレオンのレビュー・感想・評価

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)
2.9
全く理解出来ない・・。 
登場人物の心情もフィルマークスの高い★平均も・・。
私には制作者(監督もしくは原作があるなら作者)が、見る者の感情を弄んでいるだけ・・という風に受け止めてしまう・・。

どんな極端な性格の人物を登場させても、それは作者の勝手だが、その性格が途中で整合性が合わなくなった場合、やはり違和感が増し、ひどい場合は物語として成り立たなくなってしまう・・・。

↓ややネタバレ

コルム(グリーソン)はこの作品中、世代の違う音楽生らともうまくコミュニケーションをして、10人近い人と生演奏を楽しむ等、きわめて正常な人物。 なのにパードリック(ファレル)にのみ、異常な態度を取る。 指を切断し、家を放火されても自分にも責任があったから相殺だと言う。  そんな相手の立場も考える思慮深い性格なら、最初にパードリックに喧嘩を売るような接し方をしないはず。 (それまでの忍耐の限界は伝わるが、賢者の言動ではない)
退屈でやや粗野と思えるパードリックの行動に、自傷行為をする提案も正常な人物ならしない事で、それを実行してしまう事は100%あり得ない。

そしてパードリックは逆に思慮深い性格ではないが、俺に悪い所があったら言ってくれと、優しい人格である事は間違いない。 が、実際に指を切断したコルムに、再度話しかけたり、間接的な事故で死んだロバに激怒して放火する等、優しい人物にあり得ない行動・・。
この二つの行動が出来るなら、コルムの態度に怒って、「ああそれなら、こっちからも絶好だ!」となるべき。

と私が思うに、二人の主人公が性格に整合性がなく、ただ制作者が視聴者を驚かせたいだけ・・、と感じた。

ただ、出演者の演技はどれも素晴らしく、あんな情けないファレルは初めて見た。 少し足りないドミニクを演じているバリー・コーガンも、本当にそういう人物にしか見えない。 映像的には島の風情などもうまく描写しているシーンも多々あり、二人の言動以外は及第点以上。

●以下は全く違う視点の話↓

コルムが指を実際に切断するまでは、大人二人が絶交に関して葛藤する物語で、ファレルがよくこんなつまらない題材の作品に出演したな・・・と中盤までは思った。
ファレルはデビューからコンスタントに作品に出演している成功者であって、作品は自由に選べるはず。
が、彼は金があっても"アカデミー賞という名誉"はまだ、手にしていない。 受賞どころか主演・助演どちらにも、ノミネートさえ過去に一度もされていない。 そこへ「スリー・ビルボード」で二人の受賞者を出したマーティン・マクドナー作品への依頼が来て、飛びついたと思う。 私は作品自体はいまいちの評価だが、彼の演技は確かだったので、ノミネートはするかもしれない・・。(ノミネートされ、現在では受賞候補No1のようだ)

あと、フィルマークスのレビューアーの方々は、こういう映画賞を獲得あるいは候補になっている作品には、評価が甘い(忖度している?)と感じる・・。 
現時点でのフィルマークス★平均は3.8だが、

ヤフー映画では★平均 3.3
映画.COM では ★ 3.6
ムービーウォーカー ★3.6
と他サイトでは、平均かそれ以下の評価となる。

これは今作に限った事例でなく、他の映画賞獲得作品でもこの状況が多い。それだけ、フィルマークスには奥深い作品を好む方が多いのだと思う反面、映画通なら賞取り作品のよさが分からなければ・・という心理が働いているのかも・・と感じる。

私は"自分だけの物差し"で、レビューを書いてしまうので、過去にミュージカル「RENT/レント」の低評価レビューで、知らない方から批判コメントを頂いたが、このレビューでお気を悪くされた方がいても、ご了承下さい。
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