Mariko

イニシェリン島の精霊のMarikoのレビュー・感想・評価

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)
4.0
難解なようで、おおもとは案外シンプルな話。

これが、離島ではないにせよ田舎で、主人公ふたりが中学生の男子で、同じ学年の男子は二人しかいなくて毎日一緒に通学してたんだけど、ひとりはちょっと、まあ現代的に言うなら「発達障害うたがい」的なやつで、もうひとりが何かに目覚めてやりたいことに邁進したくなっちゃった、みたいなことで考えると割と納得できちゃうというか。それが、落ち着いた年齢の大人の男なのでいちいち「何故そこまで??」ってなるんだけど、大人だからこそ表現度合いが極端になってしまうっていうことってあると思うし、先が見えてきたからこそ何ごとも「天秤」にかけるようになるっていう側面も残念ながらあるし、そのことの罪深さは嫌というほど身に染みているだろうし。

そんな矮小化しなくても...と考える向きもあろうかと思うけれど、でもそんな小さな話なんだと思う。

そしてそこにさまざまなメタファーを巧みに絡めていくスタイルが、ものすごくよくできてるなあとは終始感じていたけれど(如何様にもとれるけれど、アイルランド内戦は個人的にはそんなでもないかな、と。)ちょっと後味的に好みではないというか。度々書いてるんだけど私は単純な人間なので、映画観終わった時にスッキリしたい笑 のに、この人間の本質にぐいぐい切り込んでこられる感じはちょっと苦しい。いや、そこまで思わされちゃうんだから名作に違いないんだろうけど。

それにしても、毎度のことながらバリー・コーガンのこの存在感よ。昨今の俳優でここまで「他をよせつけない」在りようってちょっと凄いと思ってる。


スコアなるものは、映画の「出来」と「好み」のどちらなのか?は毎度悩みどころ。なので、つけないことにしようかなと思うことも多々あるのだけど、尺度を持っておきたいっていう面もなくはなくて、、むずかしい(基本、好みでつけてます)

ちなみにこちら、舞台は1920年代。インドでは独立運動に身を捧げる熱い男たちが友情を育んでいた頃、アイルランドの孤島ではこんなことが、とつい思ってしまった敗北感笑。
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