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イニシェリン島の精霊のmakoのレビュー・感想・評価

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)
4.0
《すべてがうまく行っていた、昨日までは。》
◎80点

マーティン・マクドナー監督(『スリー・ビルボード』)作品。

【あらすじ】
舞台は1923年、アイルランド西海岸沖のイニシェリン島。内戦に揺れる本土とは対照的に、のどかな平和が保たれたこの島の誰からも愛される素朴な男パードリック(コリン・ファレル)が、親友コルム(ブレンダン・グリーソン)から突然絶交を告げられる。


マーティン・マクドナー監督のルーツであるアイルランドの精神に回帰した作品。


本土の内戦より、親友から絶交された事の方がパードリックにとって重大。
そりゃそうだよね。生活に関わりがある方が大切だもの。
昨日まではコルムと楽しくやってたのに突然絶交され話かけるな、なんてパードリックじゃなくても戸惑うし、どうにか関係を修復したいと思うわ。
島で生活していて、親友がいなくなるなんて辛いよ。島じゃなくても辛いのに。
でもコルムの本気度を考えないパードリックもどうなのよって思った😅

おじさん二人の顛末、どうなるのかとドキドキしながら観てました。
イニシェリン島の荒涼とした風景、寒々しい感じが作品を一層際立たせていたように感じた。
終わり方が、えっ終わったの?って感じで消化不良気味でしたが、皆さんのレビューを読んで少し補完できました。
本土の内戦と親友と絶交が対比になってるとか。
俳優陣の演技、風景、映像、音楽が素晴らしかったのでこの評価にしました。
コリン・ファレルも良かったけど、ブレンダン・グリーソンの圧倒的な存在感にやられました✨

第79回ヴェネチア国際映画祭で脚本賞、ヴォルピ杯男優賞受賞🏅


【メモ📝】
*原題にある「Banshees」(バンシー=精霊)は、アイルランド神話でよく知られる、死を知らせる時に現れると言い伝えられる、精霊/妖精のこと。

*イニシェリン島は架空の島で、撮影は主にアラン諸島の3島のうち最大のイニシュモア島で行われた。
島は石灰質の岩盤で覆われていて、大西洋から吹く強風で木々が育たない荒涼とした風景が、”世界の最果て“のごとき絶景と讃えられている。
イニシュモア島に建てられたパードリックとシボーンの家のキッチンから見えるのは、ドン・エンガスという古代の遺跡。ケルト神話の神エンガスの砦という意味で、3000年以上前に古代人によって作られたとされる島を守るための要塞。


字幕: 牧野琴子
観客 1階席 ?、2階席 5人
劇場鑑賞 #16
2023 #16
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