Aya

イニシェリン島の精霊のAyaのレビュー・感想・評価

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)
3.8
#twcn

"スリー・ビルボード"が優しい映画なら今作は意地悪な映画。

マーティン・マクドナーのSっ気が"笑い"という形で炸裂しててめちゃくちゃ笑えるw

なんか深刻そうな面したコメディ映画って大好き!
絶望はすぐそばにあるものの人生とはそんなにたいそうなものか?

ひとは皆必ず死ぬのに。
生きている時間は死ぬまでの暇つぶしでは?って言ってましたね。
コリン・ファレルの妹が。

妹のシボーンは頭良いし美人だし気も強いし素敵‼︎
彼女は典型的な"出生ガチャ"にハズれた"女性"
きっとダブリンで新しい人生を切り開けるし絶対こんな島出てった方がいい。

彼女を今までとどまらせていたのは??
バカ兄貴コリン・ファレルのせいですね。
彼は良い奴か?

自分で言ってましたね。
俺は良い奴だ!優しい男だ!って。

良い奴でも優しい奴でも面白くないと思われたからグリーソンパパ(ドーナル・グリーソンのお父様)に『お前クソつまらんからもう話しかけんといて時間の無駄』って言われたのよいきなり。

それいつから考えてたの?!ってコリン・ファレルの気持ちわからんでもないけどw

必死にグリーソンパパと仲直りしようと奮闘して意味わからんこと言い出したり行動的になったり奮闘する姿がすべて裏目に出て彼のバカっぷりが露呈しまくり。

超かわいい!!
孕まないけど母性は擽られますがな!


『昨日まで俺のこと好きやったのになんで今日いきなり嫌いとか言うねん?!』

『・・・』

『えっ?昨日までは好きやんな??』


て言い終わった時のグリーソンパパの『こいつ無理ぽ』顔とコリン・ファレルの自信なさそうな眉間w

か、かわいそう!!

大好き!!

おばんが飼うよ!!

深く深く自身を埋め尽くすようにどんどん深い墓穴を掘るコリン・ファレル…

とてもいい。

"聖なる鹿殺し"のキモいコリン・ファレルと"ビガイルド"の孕みそうなほどHotなコリン・ファレル。
新たに"可哀そうすぎて飼いたい"ジャンルを開拓。

『母ちゃんが撥ねられたって!すぐ帰りな!』

『そんな馬鹿な!母ちゃんはとっくの昔に死んでるのに?!」

『間違えた父ちゃん!父ちゃん轢かれたって!』

『マジかよ…』

LOL🤣

いや、一周回ってめっちゃおもろい奴になってるやん!て考えると皮肉が効いてて最高。

でもグリーソンパパは全然面白そうじゃないし納得してないし真剣だし友だちに戻ってくれないどころか『話しかけたら指切ってお前に投げつける』とか言うわけw

で、実際指切ってコリン・ファレルの家のドアに投げつけるわけw

こんな面白いことある??

意味分からんし意味ないけどそもそも人生の意味とは??

あの指靴箱に入れて返しに行くとことか切ったあと特に何もしないで放っといてるグリーソンパパも面白いしアホやし意味わからんしその傷が全然塞がらなくていつまで経っても『切りたてです!』みたいな傷口もいい感じに笑えましたw

2人の痴話喧嘩にもうひとりバリー・コーガンくんというコリン・ファレルと組ませたらハマりまくるテクニシャンが参戦してくる。

このバリー・コーガンめちゃくちゃいい…やばい"聖なる鹿殺し"よりいいかもしれない…

あれですね。
バリー・コーガンくんはコリン・ファレル相手にパパ活を何年やってるんですかね??
ちゃんとお金もらってるのかな…このコリン・ファレル全然稼げなそうやけど大丈夫かな…

と思ったらすぐに別のパパを見つけてコリン・ファレルをおきざりにするかわいいかわいいバリー・コーガンくん。
ゆとり世代感ビンビンですね。

わたしバリー・コーガンくんてアメリカ人やと思ってました…めちゃくちゃいい役者さんよね!!

『お前の秘密バラしてごめんご』

って謝ってたけどいや、秘密どうのこうのより内容!!

その後一切触れない罪深さ…恐ろしいよ普通に…

あのモーツァルトの話が象徴的なんやけど、みんなバカで退屈で人生に意味なんてない、という当たり前の話。

分かってるつもりでも我が身に降りかかったときの絶望よ…

そう。

コイツらの人生なんてつまらない。

だったらアナタの人生もつまらない。

誰の人生にも意味なんてない。

と、この映画は言っている。

しかし同時に

生きていればいいこともある。

たまにね。

運が良ければね。

宝くじに当たる感じの倍率。

と真顔で言ってくるマーティン・マクドナー。

意味がなければそれは人生ではないのか?

ひとが生きるために意味は必要か?

という哲学的ながら考えるだけ無駄なテーマも浮き彫りに。

でもほんとそうで。

昨年観た"アフター・ヤン"でも人間の生きる意味的なぼんやりしたものを直視することで自ら近視になって遠視になって全ての物事をボンヤリと霧がかかったようにしか見えなくなる。

いや、見えなくする。
意図的に。
そんな感じ。

ひとの人生を惨めにするのはとても楽しいですね。

他人の目なんて本当はどうでもいいのに。
どうでもいいことに気付いてないひとはなんと生きづらそうなのか…笑えるwってほら!いじわるな映画でしょ?!

でも別に意味なんてなくていいのよ…人間でも山羊でもカモメでも…

あの山羊もカモメも思ってたよりデカいしこわいし美味しそうですね。
他にも犬に牛に馬。

動物映画として見ても面白い。
そういえば鶏は飼ってないんやね。
卵料理も無かったしアイルランドでは鶏や卵はあまり食べないのかな??

自身のアイルランド英語に対するとてつもない距離感にあぜんとする昨今ですが、今作はなんか…日本語訳が古臭くない??

田舎の話やからわざとかもしれないけど、言い回し自体古くない?とかその単語やと意味がちょっと変わらない?ってとこが結構多くて…牧野琴子さんの日本語字幕やっぱり苦手。


日本語字幕:牧野 琴子
Aya

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