たけひろ

イニシェリン島の精霊のたけひろのレビュー・感想・評価

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)
4.0
諍いの原因の謎には惹きつけられたし、台詞による説明を避けた余白の表現も、悲劇の中の滑稽味も、とても好み。

マーティン・マクドナー監督は「スリー・ビルボード」が大嫌いだったので、映画館で観るのは敬遠したのだけれど、失敗したなあ。

不毛な内戦に巻き込まれてしまった妹は難民。

パプでの芸術と優しさについての議論、そして、やべー警察官に殴られてからの馬車でのふたりには、心が震えた。

俳優陣は驚くほど素晴らしい演技。

個人的には本作のキャストたちのほうがアカデミー賞に相応しかったように感じた。

(ブレンダン・フレイザー主演の「ホエール」は未見)

もちろん、監督による脚本と演出がもたらす影響は甚大でしょうが、本当に理想的なアンサンブルで、大拍手。

まったく「退屈」しませんでした。

馬の糞の話を2時間もできるというのは退屈を超越して、むしろ芸術的ですらある。
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