田上

イニシェリン島の精霊の田上のネタバレレビュー・内容・結末

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

何故争ってるのか分からない。
突然絶交されて理由を聞くけど理解できない。
ハッキリ理由を言ってくれてるのに、どんどん疑問が湧いてくる不思議。

「お前のことが嫌いになったんだ」
「お前は退屈だ」
「ただ静かになりたいだけなんだ」
理由はハッキリと教えてくれてるのに何故か釈然としない。
裏に隠した真意があると思ってしまう。
心に芽生えた小さなわだかまりはグングン成長して悪意に変わる。

理解しあってると思ってるだけだった自分が恥ずかしいとか、バカにされてるかもしれんとか、そんなことを気にして焦って最終的には悪意を持って家に火を付ける。
争いを生むのは人の心。
動物には罪はない。

救いがないなぁ。
心にどんよりした黒いモノを抱かせるいい映画だった。刺さるね。
たぶん監督自身の持つ描きたいテーマがあって、それを推し進めてる作品だと思う。
今作も争いが大きく描かれてるし、単純にいがみ合って殴り合うってものじゃない。
争いを単純に描かないところに深みがある。
考える余地がある。
マクドナー監督作品はその余地から希望も絶望も感じさせられる。
今回は絶望を感じる作品でした。

ドミニクはなんで死んだんだろう?
そのメッセージはなんだろなぁ。
田上

田上