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イニシェリン島の精霊の8637のレビュー・感想・評価

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)
3.6
総評して言うと、マーティン・マクドナー監督作、少しNotForMeかもしれない。

動機が分からない。罪を厭わない。不気味としか言いようない禍々しさ。歯車に狂わされた老人の逆張り。
その惨状を予想してしまうのだ。観客の観たかったあの姿は、振り返れば見たくなかった姿となる。
すべては精霊の功罪か。指の数が正常の証。

良いヤツでも嫌われる理由が表れてるよ。結局は暇とされる時間を暇潰しとされる行動で埋めてしまうのが正常。それで事足りるはずなのに、明らかに友情ではないその歪な繋がりが、続いている。

最も面白いとされるところを掴めなかったというのも事実。超俯瞰な内戦との並行的描写が巧妙だったというが、その辺りの絶望的に疎い自分は眠い目を擦りながら海の先を見つめていた。

そして、個人的な物語である事が少し性に合わなかった。我が身を振り返ってみて言える事ではないのだが、内輪な呼応のズレが見世物になるなんて情け無い。いや、誰もが顔を知り合う島だからこそそれを最大の問題として捉えたのか。

それでもこの映画が哀しいのは、コルムが慈悲深さをちゃんと持っている人間だったから。予告編からずっと、こんな陳腐なきっかけから始まる映画がしっかり慟哭なのか...と思っていたが、ドラマ性はめちゃくちゃ担保されていた。


最後に、(映画とはマジで無関係なんですが)2ヶ月ぶりの感想投稿となったこのアカウントの中の人の近況について少し。
ありがたいことに高校生活の充実度が半端なく、そちらに精力注いでいたら映画鑑賞が蔑ろになっていました。高2になって勉強も頑張らなきゃいけなくなったし。そんな訳でいつ映画を観られるか分からない2年間が幕を開けてしまいました。しかしいくら時間を置いてでも、観た映画の感想は少しでも綴りたいと思います。自分の文章力を補ってくれたのは間違いなくこの行為だったので。
試写会も少しは行きたい...映画館の特別感感じたい...大学ではたくさん映画観られると信じたい...
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