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蝶採りのmrhsのレビュー・感想・評価

蝶採り(1992年製作の映画)
4.7
老人ばかり出てくるけど、いい映画だ。

どの場面か忘れた(のが情けない)が、音楽の背後で動物の鳴き声がやたら大きな音で被さってて、なるほどイオセリアーニは音楽で言えばエルメート・パスコアル(ブラジルの奇人)のような人なのか、と勝手に納得してしまった。

どうでもいい細部の豊かさが本当に素晴らしい。映像のための映像と言ってしまえばそれまでかもしれないが、いや映像とは物語の為ではなく、映像は映像のために存在するのだとイオセリアーニは教えてくれる。

例えば妹(なのか?人間関係が追いきれなかった 苦笑)が亡くなったことを海外に伝える場面。効率的な映画なら30秒(か1分?)くらいで済ますところをイオセリアーニは延々と引き延ばしてユーモラスに撮る。またその前の妹に死が到来する幻想的なシークエンスも素晴らしい。

日本人の扱いが気にならないこともないが、この話(ストーリー)がかなり小津的(『小早川家の秋』か?)なのは興味深い。

よくよく見るとというかよくよく見ないでも、登場人物が基本的に嫌な奴ばかりなのも好ましい。ノンシャランってそういうことか?雨の降らせ方とか本当にベタだが、イオセリアーニがあえてハードルを下げてくれたのかもしれない。
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