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蝶採りのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

蝶採り(1992年製作の映画)
3.7
オタール・イオセリアーニ特集にて。 タイトルのような古き良き貴族的な優雅さより、シニカルな毒気に満ちていました。「蝶」のようなフランス文化の美しさが、欲望によって狩られていくのを哀しんでいる作品でした。

グルジア出身の監督ですが70年代からフランスに移住しており、作品はフランスの高齢化した田園の古城が舞台。ほぼシニアしか出てきません。日本を見ているかのような高齢社会です。

テロが多発していたフランス及びヨーロッパの世相を皮肉り、バブルの金満日本、ソ連崩壊後のロシアの節操、黒人への差別、新興宗教への揶揄、階層社会、なかなかキツかったです。今なら非難必至のステレオタイプの表現でした。

優雅な古城の暮らしのご老人たちが主役でしたが、その実、貴族的な暮らしを維持することが難しいのは現実的で、生々しいほどリアルでした。

オタール・イオセリアーニ監督の「素敵な歌と舟はゆく」が、スパイスは効いているけれど、のほほんとした雰囲気だったので、それを期待したら、ぐさりと刺されました。こういう作品も作るのか、と意外でした。シニカルなのがお好みの方にはオススメできます…
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