がらがら

BLUE GIANTのがらがらのレビュー・感想・評価

BLUE GIANT(2023年製作の映画)
4.0
超面白いジャズ漫画をアニメ映画化。

全体的には良かったけど、原作好きからすると物足りない部分もあった。でも絶対映画館で観るべき作品。

原作10巻分を違和感なく2時間にまとめていて、原作シナリオの面白さが全く損なっていないのが凄い。

音が聞こえない漫画という媒体でも、演出と表現で音楽を聴いた気持ちになれるのが原作の素晴らしいところなんだけど、やっぱり音楽を題材にしている作品なので、音楽が実際に聴けると嬉しい。

音楽が実際に聴けるのが素晴らしい面であると同時に、原作では音が聞こえないからこそ自分の中で音楽を想像する楽しさがあって、今回の映画では個人的にはその想像の音楽を超えることができていなかったかなとも思った。(というか単純にもっと音量上げて欲しかった、大の演奏ってそういうイメージだし)

演奏の良し悪しは分からないけれど、中盤のあの演奏でジャズに興味のないリーマンがジャズにハマるかなーとか、漫画では起こり得なかった、作中の観客の感情と自分の感情にギャップが生じてしまう部分がいくつかあったのが残念。でもクライマックスのライブシーンは純粋に演奏が1番良かったし、シナリオ効果も加わってかなり観客と気持ちが一致して感動できた。

最高の音楽を流さなくても、"最高の音楽を演奏しているシーン"は描けるのが漫画の良いところで、実際に音楽が流れるアニメは誤魔化しが効かなくて難しいとは思う。でも『セッション』のように観終わった後、全身が汗でビショビショになるくらい興奮させて欲しかった。

1番文句を言いたいのは演奏シーンの際に切り替わるCGアニメーション。音楽が重要な映画に映像の文句を言うもんじゃないけれど、急にPS2並みの低品質なCGに切り替わるから本当に気になる。

作者の異常なこだわりによって実現した『THE FIRST SLUM DUNK』のCGと安易に比べてはいけないのは理解しているものの、直近で漫画CGの理想型を見せられてしまっているから、余計にCGレベルの低さがノイズになった。CG以外のアニメーション表現は素晴らしいだけに、もうちょっとどうにかならなかったかな〜。
がらがら

がらがら