Punisher田中

BLUE GIANTのPunisher田中のレビュー・感想・評価

BLUE GIANT(2023年製作の映画)
4.8
ジャズに魅了され、独学でテナーサックスを吹き続ける少年・宮本大。
大は「世界一のジャズプレイヤー」になるため、一流のジャズプレイヤーとジャズバーの集まる東京へ身一つで挑むのだった。

真に熱いヤツは青い。
一般的にはカフェやバー等で使用されており、オシャレジャンルともされる音楽・ジャズ。
しかし、奏者の感情が音と共に風に乗り、予定調和で終わることは決してない、情熱的なジャンル。
そのジャズ特有のアツさをしっかり描いた原作を見事に再現し、それを越えようとする貪欲さはかなり好印象で、ラストの展開は原作を読んでいればいるほど涙が止まらないこと間違いなし。
肝心のライブシーンは2000年代を感じさせる3DCGが少し目につく部分もあるが、作画アニメーションと効果の入ったテイストに切り替わった時が凄まじいクオリティでビックリした。
ここまで""楽曲""を主役として、ジャズのためのアニメーションをしてくれているのがかなり効力を発揮していたし、音楽をアニメーションで表現する幅の広さに感動!
サックスやドラムス、ピアノのテクスチャの表現、それらが場に溶け合い、人間の様により強く主張していく姿は""音楽""の抽象的な表現としては満点では。

そして、完全オリジナルのJASS楽曲がとにかく最高...!
ジャズピアニストの上原ひろみさんによって手掛けられた楽曲がしっかりバンドメンバー3人の特徴をまとめきれていて良すぎる...若さからの情熱とジャズの楽しい感情を詰め込んだ軽快なリズムと音、そこに強く踏み込んでくるサックスが凄く効いてくる。想像を50倍超えてくる完成度で見事に殴られた。
脚本を現在の原作者がしているだけあってとても巧くまとめられているし、とっつきにくいジャズの入口としては完璧。

今作終盤の""青""は僕個人としては一生忘れないと思うし、今までのジャズ観を覆す鮮烈な作品だった。大傑作!!!
音響がなるたけ良い劇場で観よう!!!!!!
Bone to be blue.