T3K3

BLUE GIANTのT3K3のネタバレレビュー・内容・結末

BLUE GIANT(2023年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

2D/日本語


原作未読。劇場で見た特報が良さげだったし、公開後も高評価レビューばかりなので鑑賞。

So Blueな映画でした。若くてアツくて眩しすぎる。もはやトリップ映像のような表現と圧倒的な音楽は合法的トビ方。「音に呑まれる」感覚ってこのことか。本来そこそこありそうなエピソードをテンポよく見せてくれたり、映画化にあたって良い取捨選択がされてるんだろうなというのも随所に感じた。逆に原作で"音"はどう表現されてるんだろう、読んでみたい。

個人的に意外だったのは、3人の中で大が最も感情移入できない人物だったこと。もちろん僕はなんの天才でも無いけど、雪祈のように挫折したり自分の欠点を指摘される気持ちは分かる。音楽完全初心者の玉田は言わずもがな。初ライブ時みたいな悪夢ってたま〜に見るよね。自分だけが大失敗してしまうやつ。一方で大は、まさかのルフィみたいなタイプの主人公だった。差し込まれる後年のインタビュー映像から察するに、本当に世界一の(ないし世界的な)ジャズプレーヤーになる男っぽいから当然の描き方なのかもだけど。

あとストーリー面、強いて言うなら「雪祈の事故」がな…。映画を観る限りでは「JASS解散(=感動)のための装置」としか思えなかった。前途有望な若者が夢の舞台を目前にして事故に遭えば、そりゃ感情は動くさ。動くけどさ。誰かが悲劇に見舞われなきゃいけないノルマとかあんの?

今作最大の難点はやはりCG。元々苦手なのもあってか、最初から最後まで受け入れられず。もっと時間とお金をかけて全編手描きアニメーションにできていれば…。マジでもったいない。「感情がノッてきた所でCGに切り替わって気持ちスンッッ」を何度繰り返したか。劇場で公開するってレベルじゃねぇぞ!

…文句も言いましたけど、数ヶ月後テレビの前で後悔したくなかったら、なるべく音響の良い劇場へ走ってください。
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