なお

BLUE GIANTのなおのレビュー・感想・評価

BLUE GIANT(2023年製作の映画)
4.0
もともと完全ノーマークだったけれどTLに流れる高評価の嵐に触発されて急遽鑑賞に踏み切った作品。
ちなみに、原作は未読。

世界一のジャズプレイヤーを目指す本作の主人公・宮本大が、自分と同じ仙台出身であるという設定も気になった。

✏️青き巨人たち
ひさびさに「音楽の力」というものに心突き動かされた。
自分は普段ジャズなど全く聞かない、それこそ劇中新橋の駅前で大からチラシを受け取った「ライブに行く可能性10%のサラリーマン」の立場である。

そう。
本作には、主要人物はもちろん端役も含め「ジャズ」という音楽ジャンルに対する価値観やレベルに隔たりがある様々な人物が登場する。

先述の、ジャズに全く興味のないサラリーマン。
大たちが組むバンド「JASS」の初ライブの地となったバーにいた、多少はジャズに造詣があるであろう常連客。
「JASS」の”最終目的地”である由緒正しいライブハウス「SO BLUE」を取り仕切るオーナーや、そこに通う耳の肥えた観客たち。
(余談だが、この「SO BLUE」のモデルとなっているのは東京・南青山にあるライブハウス「ブルーノート東京」)

本作に登場する観客とは、すなわちこの「BLUE GIANT」を見る観客ひとりひとりのことでもある。
まるで自分も作品世界に溶け込み、JASSのライブを眼前で見ているような体験はまさに「観客参加型エンターテインメント」。

物語終盤、「SO BLUE」で見せた大たちの演奏には本当に心震えたし、何なら初めて音楽を聴いていて涙が出てしまった。
なんで涙が出たんだろう、と今考えてもいまいち理由を言語化できないのだけれど、魂に訴えかける大たちのサウンドはぜひ映画館で体験してほしい。

✏️強いて言うならば…
王道だが安定感のある物語と迫力満点のサウンドは文句ナシなんだけれど、ちょっと気になる点も。

主に大たちが楽器を演奏するライブシーン。
あの人物ののっぺりした感じの3DCGはどうにかならんのかな…
せっかくサウンドがいいのに「CGちょっとショボいな…」と感じてしまって興ざめに感じる瞬間が多々あった。

あと、大が話す仙台弁も地元出身の自分からすると少し違和感。
方言指導の先生とかいなかったんだろうか。

原作読んでないからあまり大きなことは言えないけれど、「~だべ」とか「いぎなり」って仙台民でもあんなに乱発してないような気がします。

☑️まとめ
そんな本編に関係ない部分へのイチャモンを除けば、非常に完成度の高い作品。

本作は大がドイツ・ミュンヘンに向かう飛行機に乗り込もうとするシーンで幕を閉じるが、原作では「BLUE GIANT SUPREME」として物語が続いている。

予算的に都合がつかないかもしれないけど、地上波のアニメとかで続きやってくれないかな…
むしろ、本作ではほとんど描かれていない「仙台編」から描き直しても面白いかも?

<作品スコア>
😂笑 い:★★★☆☆
😲驚 き:★★★★★
🥲感 動:★★★★☆
📖物 語:★★★★☆
🏃‍♂️テンポ:★★★★☆

🎬2023年鑑賞数:30(9)
※カッコ内は劇場鑑賞数
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