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BLUE GIANTのbibooのネタバレレビュー・内容・結末

BLUE GIANT(2023年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

ちゃんと映画館で見ることの意味をスタッフで足並み揃えて理解して作られているんだろうなと想像できる。大画面と大音量をふんだんに活用している作りになっていて、いろんな説明を端折ってたとしても“映画館”で見る“音楽映画”にしてくれたことに感謝の気持ちしか芽生えない。今回「7.1ch LIVE ZOUND×RGBレーザー」で見たのが本当によかった。中途半端な音響と画面で見たら多分全然刺さらなかったと思う。

きっちり2時間で上京から夢の大舞台まで描くので、やっぱり物語展開はかなりダイジェスト感ある。バンドの積み重ねとかなくめちゃくちゃトントン拍子で、飛ぶ鳥落とす勢いすぎるようにも見えて原作未読の自分は最初かなり戸惑ったけど、見進めていくうちに大事なことはちゃんと拾っているから感動もできたし腑に落ちた。

あとたっぷり使った演奏シーンで、個々の成長が汲み取れる音作りもされていたから説明をわざわざしなくても全体通して物語を咀嚼できたんだと思う。初ライブで拍数が合ってなかった玉田のドラムがSoBlueのシーンではまだまだ伸び代は感じつつも心を惹く演奏になっているあの絶妙な感じとか、雪祈がそつない演奏からピンチヒッターで出演したライブでスランプの沼から抜けた瞬間とか、演奏の豊かさをいろんな映像表現を使って表現していたこともあり、説明がなくとも演奏シーンで成長を感じ感動できる作りになっていた。4歳から始めてるという自負から鉄壁のプライドを作っていた雪祈が、見る目が肥えたプロの大人にズタボロに壊されたあと、見事なソロパートを演奏し沼から抜ける瞬間は泣かずにいられなかった。大事なライブの前に交通事故は不憫すぎて辛かったけど、売れてほしい…その先は原作読まないとな…

大が、最初はマジで愚直で一辺倒すぎて「俺は世界一のジャズプレーヤーになる」が「俺は海賊王になる」くらい無謀な発言に思えて、あまりにもルフィすぎると思って見てた。でもそれの心配を超える練習のシーンと、信念が真っ直ぐだから見てられた。愚直はなんだかんだ人の気持ちを引っ張る。

純粋に世間一般的なアニメというものだったり「物語」だけを楽しみたい人にはもしかしたら向かないかもしれない。本気で作品のテーマを楽しみたい人、音楽をたくさん聞いてる人とかだとより楽しめる作りになってる。

主演3人の声に全然違和感なかったけど、やっぱりそこは宣伝のためか生身の俳優さんを起用するんだなとは少し思った。でも大のルフィ感が山田裕貴にぴったりではあった。
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