とむ

BLUE GIANTのとむのレビュー・感想・評価

BLUE GIANT(2023年製作の映画)
4.8
音楽映画、青春映画、夢追い映画…
それらのどんな観点から見ても最上級レベルの作品でした。
劇場にも関わらず、少なくとも6回は泣きました。

途中で数えるのを辞めたので明確に覚えている一回についてだけちょっと掘り下げて書こうかなと思うんですけど、TAKE TWOで初めて雪祈にサックスを聴かせるシーン。
「音で感情を表現したい」ってセリフが直前にあったからかもしれないんだけど、
彼が抱えた色んなものを集約した「叫び」の様に聞こえて、なんかスゲー泣いてしまった。その後雪祈も泣いててそれでもまた泣いた。

その後泣いたシーンも、言ってしまえば大の純粋すぎる「好き」の気持ちを画面越しからダイレクトに叩きつけられた時にいつも号泣してるんですよね。
夢を目指す系の映画に必ず描かれる「好き」に対して損得とか抜きでがむしゃらに突っ走る表現って、やっぱ何でか泣けるんですよね。
あと実写版ピンポンや、奇しくも当日連続で鑑賞したスラムダンクにも同じ演出のシーンがありましたけど「白い空間で自分一人」という表現。
あの演出されちゃうだけでも涙出そうになる。


原作はむかーーーし1巻だけ友人の家で読んだことがあるんですけど、結構大胆な省略をしている印象。でも改悪では決してなくて、それによってめちゃくちゃ良い意味で展開が早い。
息を吐く間もないほどテンポが良くて、退屈する瞬間が一瞬たりともなかったです。
原作でもあったと思われず、未来の周囲の人々のインタビュー映像を合間合間に挟むのもめちゃくちゃ生きてると思いました。

セッションの時も思ったけど、ジャズ音楽って映像化するにあたって編集との食い合わせがめちゃくちゃ良いんですよね。


あとは、メインの三人を若手俳優を起用した点。
これやると大体失敗しがちなイメージなんですが、今作においては大正解で非常に抑制の効いた地に足のついたお芝居が、このキャラクターたちの実在感を後押ししてくれている様に感じました。


多分多くの人が触れてるであろうCGの使い方について、確かに違和感はめちゃくちゃあるし、終盤でボロ泣きしてるときも「ここCGじゃなかったらな〜」と思ってしまったのは事実。
でも、ここぞという時にはちゃんと作画で演奏を見せてくれるので、ある種効果的な使い方だったのかもなぁと肯定したくなるくらいには全体のレベルがめちゃくちゃ高いんですよね。

良い悪いもひっくるめて、全てが良い。
それはまるで「JASS」のセッションを聴いている観客の感情そのままみたいですよね。
こんな作品久々に観ました。最高でした。
とむ

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