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BLUE GIANTのISHIPのネタバレレビュー・内容・結末

BLUE GIANT(2023年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

僕は原作未読…ではないのだが、友人に借りて5巻までしか読んでいない。5巻と言えば、玉田がドラムを始めようとするところであり、もはやこの映画の冒頭である。この映画においては原作を読んでいたとは言えない経験値で観ることとなった。ところどころ、仙台でのシーンについてはよく分かったので完全なる未読の方よりは物語の解像度が高かったかもしれない。
そういう感じなので、どうやら原作からの改変部分があるようだが僕は全く認識出来ていない。2時間の映画になるのだし、いくら5巻以降とはいえ難しい部分があるよの。なので、この映画の脚本的なことには口出しできないかなと思っている。雪祈が事故ってしまうというストーリーはあまりに悲しかった。キッついなあ。
さて、言うまでもなく映画になったわけなので、漫画で描かれていたものが動き、そして音が鳴っている。この作品はジャズがモチーフであり、音が鳴る、ってところが肝で要だろう。なんと映画にするのに勇気のいることだろう。その音楽をかの上原ひろみが担当し、サックスは馬場智章、ドラムは石若駿と、錚々たるメンバーだ。ドラムに至っては初心者時代から始まるということで、石若駿のプレイの多彩さがよく分かる。サックスも聴くものが震えそうになる演奏をぶちかましており、この音楽を聴くという点については映画館での鑑賞が必須となるだろう。映画館というジャズクラブに僕らは行くのだ。僕はシネマチュプキタバタで観られたことが本当に嬉しい。
あとは動きについて。これは賛否あるのだろうか?とはいえ、あの3人の演奏をちゃんとアニメーションにしていくとなると、モーションキャプチャが必須になるんだろうなあと思わざるを得ない。ましてやバンド演奏となればモーションキャプチャじゃなきゃ相当厳しいだろうなあと。と思うと同時に、違和感という表現は違うな…なんかライブシーンのカッコ良さみたいなものが…映像としてそこまで表現出来てたのかな?とは思ってしまったりしたんだよな…なんだろう、上手く言えないんだけど。かつ、漫画ではできないアニメーションならではの演出が演奏シーンになされてるんだけど、特にそこがかっこいいってどうしても思えなくて。むしろマイナスに感じてしまった。じゃあどうして欲しかったんだよって言われると困るんだけど。なーんかね…せっかく動くのになんか、ね…。でも玉田のドラムの成長っぷりにはあのおじさんだけでなく僕らも泣かされることには変わりないんだけど。ドラムはかっこよかったかなあー。にしても、玉田ドラム上手くなりすぎてびっくりしたわ。練習しまくったらあの域に到達できるんか。それもほかの2人の力なんか。
じゃあ映画にするべきじゃなかったと思うのか、と聞かれたら、それは違うと思う。映画にされて良かったのだ。大は、ジャズはオシャレとかそんなんじゃなくむしろ激しくアツいものなんだとみんなに知らしめようとしている。その役割を、この映画は担っている。ジャズを普段聴かない人が、たくさんこの映画を観たことと思う。そこから原作を読んだりして、ジョン・コルトレーンを聴いたりするのだろうか。僕がみた5月GWにも公開され続けているヒットなってる現状。もっと広がって欲しいとも思う。
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