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BLUE GIANTの8888のレビュー・感想・評価

BLUE GIANT(2023年製作の映画)
3.3
漫画で初めて泣いたのはブルージャイアントだった。自分にとってとてつもなく大事な作品だからこの映画を見ることがとても怖かった。今まで音がなかったものに音を当てられてしまう恐怖。どこまで情熱が再現できるのだろうかと。でも、上映館が少なくなって、もう映画館では見れなくなるかもしれないと思ったらそれもまた怖くて。だから決心して109シネマプレミアムで見た。
見始めの印象はあまり良くなかった。自分が初めて泣いたのは高校生編だったからそこがまるまるカットされてしまったのは虚しく感じた。でも見ていくうちに泣けてきた。この作品が良いから涙したというより、原作の内容を思い出して泣いた感じだった。もし原作を知らずにこの映画だけを見るとするならばとても勿体無いことだ。決して悪い映画とは言わないが、あの漫画の長さで流れる泥臭さが重要な気がした。こんなトントン拍子にステップアップしていくのは違う気がした。映画だけでは泣くまでには至らなかっただろう。
演奏に関してはとても良かった。上原ひろみの作曲もそうだが、個人的に一番懸念していたのはテナーサックス。ドラムに関しては初めて1、2年といった設定であるし、演奏自体もそこまで前に出てこない。ソロパートもラストの一回。ピアノに関してはめちゃめちゃ上手い器用な演奏。上原ひろみに頼めば完璧だろう。ただサックスに関してだけは違う。決してとても上手いというわけでもない。もちろん上手いのだが荒削りでとにかく心に響く。宮本大の努力してきたバックグラウンドを彷彿させながら、ジョンコルトレーンを重ねさせるようなスターの音じゃなきゃいけない。作品の演奏がこれ以上ないほど完璧だったかはわからない。けれど馬場智章の演奏は彼自身の努力や、作品へのリスペクトがあった。宮本大の演奏として受け入れることができた。今作で演奏したプレイヤーには敬意を払わなければならない。

最後のシーンは許せない。なぜ改編した?映画を綺麗に締めくくるためか?それはダメだろう。その改編で出来事の重みが変わっちゃうのに、
ここの点数は原作を思い出させてくれたことと楽曲の素晴らしさによる点数。映画単体としての点数はあまりない。
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