絵とセリフで演奏の凄さを表現した漫画が、アニメや実写になって実際の音が入ると全然凄く聞こえないというのは良くあることですが、このアニメの演奏は違和感を全く感じさせない本物感がありました。ジャズの即興感に加えて、息継ぎの音を大きめに入れたりといった工夫もあり、ライブ感がすごかったです。
そこに重なるアニメも漫画的な抽象表現がカッコよく、圧倒的な迫力でした。一方、ここぞというところ以外の演奏シーンが決して質が良いとは言えない3Dアニメだったのが少々残念です。
また、序盤でオーディオからジャズが流れるシーンがあるのですが、なんとなく音が良いオーディオ機器で聞いてるような気がしたのが不思議。音響のマジックでしょうか。
メンバーたちの思いをストーリーの中で積み重ねていき、それを演奏に昇華させる構成も見事です。演奏シーンに入ったらセリフによる余計な説明は排して、演奏そのもので場面の意味を伝えてくるのがすごいです。個人的にドラムの成長の流れに感動しました。演奏シーンだけでこんなに泣けるとは。
2時間の映画で良くここまで綺麗にまとめたなと感心です。続編が作れそうな終わりでしたが、本作は人格が完成している主人公が狂言回しとして周囲を変えていくスタイルだったので、今度は正面から彼の成長を描いた映画が観てみたいです。
