DJUME

BLUE GIANTのDJUMEのレビュー・感想・評価

BLUE GIANT(2023年製作の映画)
4.5
原作のマンガを読んで内容は知っているはずなのに非常に心を揺さぶられた。
「Beck」や「のだめ」しかり、マンガでの演奏や音楽の再現は難しく、読者の想像に頼る部分が大きいと思う。本作もマンガでは演奏部分は細かく描写されてるが、映像はどのように再現をされているかを注目した。紙(マンガ)の弱点を克服し、原作の世界観を損なわず見事に演出をされている。そこには映像の要素だけではなく、音楽の再現も見事に演奏をされている。上原ひとみ氏をはじめ、馬場智章氏、石若駿氏の演奏がまさに劇中でのJASSの3人の心意気、野心野望、夢と非常にリンクしていて、この映画のジャズ、ひいては音楽、エンタメに対する本気と覚悟を感じさせている。
個人的な感想としては、夢について深く考えさせられた。劇中でも「夢は描いた方がいい」という内容や「世界一のジャズマンになる」「ジャズをもっとたくさんの人に聴いてもらう」など夢や目標に対する要素が非常に多い。3人の夢に対する内容、スケール、追いかけ方にも違いがあるが、最期の残酷な夢の諦め方がとても感慨深い。
夢を追うことは困難で諦めることは簡単。夢の実現に向けて一歩ずつ努力を重ねるが、それでも結果が伴わず夢を諦めることが多い世の中。就職や結婚、出産、生活環境の変化や金銭的な問題、年齢、病気など理由はさまざま。全てを捨てて本気で夢を追いかけ打ち込んだ人ほど、夢を諦めることの悔しさと辛さを知っているはずです。
この映画は最高の演出と演奏で夢との向き合い方をリアルに描いた作品で、今まさに夢に向かって努力をしている人、一度でも夢を思い描いて何かに打ち込んだ人、そしてさまざまな理由で夢敗れた人に刺さるエンターテイメントです。
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