春野原

BLUE GIANTの春野原のレビュー・感想・評価

BLUE GIANT(2023年製作の映画)
4.0
良作だと思う。音楽ものって映像化するの大変そう。
感動作につっこんじゃいけないかもだけど…歴1年ちょいでsoBlueに立てたドラム君が1番スゴイ。その歴で叩けるはずがないような高度テクやナイスセンスの演奏でちょっと苦笑い。天才すぎる。

でも、アキコさんのお店のスピーカーのからでた音が昔の高価なマニアックオーディオ風の音だったのでほっこりしたからいい。

実際今は、新宿のピットインでさえ名のあるミュージシャンが演奏してもガラガラでjazzというジャンルはなかなか厳しい。若い人が触れる機会がないと思う。
日本だと村上春樹世代の大学生がjazzで薀蓄を語らないと!な風潮で(1950-70年位?)その後、若いミュージシャンたちが数十年前の名盤を語るのをやめ、自分たちの新しい音楽フュージョンやテクノ等を創りはじめてジャズ喫茶が廃れてしまった。

本作の主人公、大くんは、どの時代のjazzやどのミュージシャンに惹かれたのかが描かれてないのでどんなのを目指してカッコイイと思っているのかがよくわからない。
漫画といってもサザエさんから北斗の拳、ワンピースに進撃の巨人、劇画から萌え萌え色々あるように、jazzも色々あるけど、なんとなく万人のイメージしやすいブルーノート系定番風の曲や芸風だったので、演奏にあんまり研がった感や若さは感じなかった。セッションならではの音の絡み具合もこなれ過ぎてて新人バンドふうの面白い荒さや挑戦感はなかった。
もちろんプロの演奏自体はとても上手なんだけど…。

例えば、進撃の巨人コミック1巻の衝撃…絵は微妙だけど…すんごく何か伝えようとする圧みたいな新人の凄さフレッシュさは、もう上手くなってしまった人には再現が難しいんだと思う。

大君のサックスは通好みの渋めの音だったけど、もう少し素直な明るい張った音色の方が若々しくて良かった気がするなあ…。渋めのほうが往年のjazzファン好みだし、一般にもはったりきくんかなあ…。

ドラムは冒頭、アートブレーキをしらないのか!と怒られてて、えーそんな古い基準でこのバンドやるのか!?と驚いたけど、2拍4 拍のハイハット踏みしてくれなくてガッカリ。ちょっと期待したのに。

ピアノは実質リーダーだからもっと前に出て来てみんなを煽ってくれていいのに、キャラと違って謙虚でものわかりのいいピアノ。もっとイキリ倒した演奏で大君とケンカするみたいなハラハラするセッションだったら楽しかったかなあ。

ハラミちゃんみたいな主張強めピアノをさらに超えてくサックスだとカッコ良かったと思う。主人公のサックスが目立つようにピアノとドラム抑え気味にしたんだろうけど、バランス良すぎて接待セッションか、スタジオの別撮り風な感じがしたかなあ…。
て贅沢言い過ぎだね。音楽ものは難しい…。

ミュージシャンの方々もキャラ風に演じてくれて自分の普段の演奏や主張とは違うわけだし大変だったと思う。
スタッフの皆さんの努力が素晴らしい。
春野原

春野原