Miri

やがて海へと届くのMiriのレビュー・感想・評価

やがて海へと届く(2022年製作の映画)
5.0
岸井ゆきのと浜辺美波の化学反応が素晴らしかった。浜辺美波漫画原作の作品が多い印象だったけど、『きみすい』とかこういうミステリアスで掴みどころがないけどすごく魅力的で儚げなキャラクターを演じるのがすごく合っていると思う。
前半と後半でまなとすみれそれぞれの視点を描くことにより、結局その当人しか感じていることや思っていることはわからないことを演出しているしそれが根底としてあるのだろうと感じさせる。まさに「世界の片側しか見えてないと思うんだよね。」というセリフ効いていると感じる。
この作品は震災による津波を描いているが、コロナにおいても唐突に、さっきまで元気だった人が突如として帰らぬ存在になってしまうというのは、想像がつかないくらい受け入れがたい出来事である。それをまなの視点から当事者としての心の動きを丁寧に描いていて、自分だったらどう乗り越えるだろうかとかいろいろ考えるきっかけになったように感じる。
また、女性同士の関係性の複雑さがとても丁寧に描かれていたと感じた。まさに大学の新歓のシーンとかは男性の無神経さを徹底的に描いているし(実際自分も経験あるし何度も観たことある)、異性関係>女性同士の関係としての描かれ方が遠野を置くことによってより意識的に描かれているような印象。すごくリアルで本当に見ごたえがあった。
なんだか久しぶりにすごくいい作品を観た感覚がある。
「安心できないなら無理して誰かと一緒に居ないくていいと思う」
Miri

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