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やがて海へと届くのcocoのレビュー・感想・評価

やがて海へと届く(2022年製作の映画)
3.8
WOWOW鑑賞。

彩瀬まるさんの小説を中川龍太郎監督が
映画化した作品。

原作未読。

中川監督作品は
『わたしは光をにぎっている』
『静かな雨』以来3本目の鑑賞。

この3作ともに、似たような感想に。

静かでセリフも少なめなので
原作者や監督の伝えたい事の半分くらいしか
理解出来ていない気がしてしまう。
解釈がとても難しい。

だけど、そのわかりにくさも決して嫌じゃない
と思わせてくれる映像の素晴らしさと心理描写。

中川監督の撮る風景や主人公の暮らす家とか
決して豪華でも特別な場所でもないんだけど
古い和室の部屋が、とても素敵で心地良さそうな
空間に見えたり大きな窓や植物の配置の仕方が
オシャレだったり、風景の切り取り方が絶妙で
行ってみたいな、ここはどこだろう?と思わせられる。

映像だけでも、ずっと観ていられそうなくらい
好きです。

さ、ストーリーについては、ですが
これまた嫌いじゃないです。
ただ作品自体に余白が多く、細かな説明は
してくれないので、自分で自分なりに
答えを見つけないといけない感じが
きっと評価の分かれるところかな?と思います。

タイトルの海を指す意味について
途中ドキュメンタリー風なインタビューシーンが
あるのが、唯一そこが私は引っかかってしまった。
私としては、あのシーンは、この映画では
なく、普通にドキュメンタリーで別々に観たかった。
もちろんインタビューの内容が必要ないなんて
言うつもりは無いし大事な事だという事は理解しているんだけど、この作品のフワッとした雰囲気から急に現実に戻されてしまい戸惑ってしまった。このシーンも賛否分かれる気がする。

それと同じくアニメーションのシーンが
必要かどうかも賛否両論かな。

こちらのアニメーションに関しては私は有り。
この作品の唯一無二感があって良い。

全体を通して『マイ・ブロークン・マリコ』
に近いストーリーだけど、
中川監督の映像と主演2人のリアリティが
今作の方が好きだった。

主演の岸井ゆきのさん(真奈)、浜辺美波さん(すみれ)が、とても良いです。
もともと岸井さんは好きだったので今作も良かったって感じだったけど、浜辺さんは今作が今まで観た中で1番好きだったかも。
お人形さんのような可愛いロングヘアーからショートヘアーになっていく変化も美しい。

2人とも演技してますって言う感じでもなく
ナチュラル過ぎる訳でもなく、こちらも絶妙。

前半、後半で2人それぞれの視点で観たり
構成がなんとも切なく繊細でキュンとする。

ラストのシュシュの話を聞いて、その
あれどこいったんだろ?どっかにあるはずなんだけどなーって言う感覚と、真奈がすみれを想う気持ちが重なる気がした。
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