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乱れ雲のNOBUのレビュー・感想・評価

乱れ雲(1967年製作の映画)
4.0
成瀬巳喜男監督の遺作にして秀作である。
交通事故で夫を亡くした女性と、その加害者の男が惹かれ合う姿が、切なく何とも言えない美しさが醸し出されている。
二人の距離が縮まってくいく様子を決してドラマチックに見せることなく淡々と進行して描かれているのだが、その表現は決して淡々としておらず、煮え切らない心の感情が絶えず終盤まで揺れ動いて燃えている。

この映画が優秀なのは、映画表現としての無駄な描写やシーンを一切省いて必要最小限にして合理的に描ききっていることにある。もちろん主人公を演じる加山雄三と司葉子の二人の物語以外のサブストーリーも進行しているが、それはこの二人の関係を一層際立たせるための仕上がりにもなっている。

それにしても、加山、司ともに当時30歳代前半にしてこれほど大人の男女の恋の行方を演じきっているわけだが、これは今日の30代にはない成熟した感触の違いだろうか。。。
でも、美しすぎる。
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