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デリシュ!のLEOのレビュー・感想・評価

デリシュ!(2021年製作の映画)
3.5
フランス革命前夜、丹精込めた創作料理を貴族達にけなされた上に職を失った公爵のお抱え料理人マンスロンが、謎の女性ルイーズとの出会いによって世界初のレストランをオープンする話。

面白かった!
でも何か物足りない。
何か確かに美味しいんだけど、「ちょっと量が少なすぎる」とか「味に深みがない」とか、逆に「色々と調味料使いすぎて味がぼやけてしまった」とかのような料理を食べた感じ。
何だろう?

マンスロンは公爵に多大な恩を感じているから出した料理の責任を咎められたのに謝らなかった。
だから職を失った。
料理人としての意地とプライドを選んだわけだ。
でも田舎に公爵が来るっていうだけでウキウキルンルンなっちゃうプライドの無さ。
あれだけ「美味い料理は女には無理だ」とか言ってルイーズの弟子入りを拒んでたくせに、いざ教え始めると初っ端からキスしようとする尻の軽さ。
そういうのって「何で?」ってのがないと、マンスロンというキャラの威厳を崩しちゃうんじゃないかなぁ?

それにもっと料理人としての生き様や、公爵などへの人間関係への苦悩などを描いてマンスロンに厚みを持たせてほしかったような。
だって当時のお抱えシェフは料理を忠実にコピーすることが大命題であって、創作料理なんかもってのほかだったみたいだから、実話をベースにしている作品ならそこを掘り下げないとじゃないの?
ラストに向けての発奮の理由が「それかい!」だしねぇw

オチに持っていくためにロマンス要素は必要だったんだろうけど、主人公達の身に降りかかる悲劇が途中で立て続けに来たりで、ストーリー構成もなんかバランスが悪いんだよね。
民衆が暴れてるみたいなセリフはあるものの、革命寸前の民衆の熱さも感じられないし…。
もちろん好みはあるだろうけど、自分としては結局主題は何なの?って感じ。
こんなような部分が虫食いのようになってスカスカに感じるんだろうなぁ。

でもね、絵画的な風景は素晴らしいし、料理は美味しそうだし、ひとりの料理人の人生を描写することでフランス革命に至った要因を間接的に描写したっていうストーリーの持っていき方は面白かったです。

今では当たり前のサービスな彼らが取り入れた給仕方法は、なんと当時のフランスではやってなかったのですね~。
あれはロシア式なんだそうですわ。
知らんかった。
LEO

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