モカ

デリシュ!のモカのレビュー・感想・評価

デリシュ!(2021年製作の映画)
4.3
“世界で初めてのレストラン誕生の秘密が明かされる”

レストランの定義にもよるが、フランスにおいてはともかく、“世界で初めて”は誇張しすぎ。
大げさなキャッチコピーはいただけないが、まだ庶民と貴族が同じ場で食事をする事がご法度だったこの時代において、美食を一般大衆に拓くという文化の発端を描き出した作品としてはとても面白かった。
現在のレストラン形式のパイオニア的存在として、これが当時ではいかにセンセーショナルな出来事だったのかが窺われるよ。

中身は特に貴族の傲慢さに輪を掛けて描写されていたのが印象的。庶民と貴族のギシギシ感、両者の軋轢が際立っていました。
庶民視点で綴られる流れだけども、観ているとそちら側にうま~く感情を誘導してもらえる。
そしてテンポよくぽんぽん進み、紆余曲折を経て、最後は痛快に締めくくられる。
単に料理が美味しそうってだけでなく、起伏に富んだドラマがいいスパイスになっとります。

18世紀という時代背景、美味しそうな洋食、個性を持った登場人物、絵画のような場面場面。
自分好みの要素が詰まっていて個人的にはドストライクな作品。ついつい2度続けて観賞してしまったよ。





以下、メモ

▪️マンスロン:元宮廷料理人
▪️バンジャマン:彼の息子。読書家
▪️ルイーズ:マンスロンに弟子入りを志願する女性
▪️ジャコブ:マンスロンの父の友人(?)。マンスロンの父の最期を看取り、以後彼の家に住み着いたと思われる老人
▪️シャンフォール公爵:マンスロンが仕えていた公爵
▪️イアサント:公爵の執事

作中で明確に語られてはいないが、マンスロンの実家はもともと旅籠を経営か。
また、シーンがカットされているのかジャコブに関する掘り下げが物足りず、彼に関しては情報が少ない。
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