てっぺい

ラーゲリより愛を込めてのてっぺいのレビュー・感想・評価

ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)
4.0
【ニノ泣き映画】
絶望の世界で希望を唱え続けた男とその仲間が起こす奇跡の史実。二宮和也を筆頭に俳優陣の熱演に涙が枯れるほど泣かされる。戦争の起こった今こそ見るべき、心が少しあたたかくなれる良作。

◆トリビア
○二宮和也の祖父もシベリア抑留経験者。戦争のしわ寄せが庶民に来る、その悲劇を忘れないでほしいという想いが出演を決めた理由の一つだった。(https://encount.press/archives/390428/)
○ 撮影は雪が積もる厳しい寒さの中で行われた。二宮和也は撮影前に食事制限もし、説得力があるレベルまで容姿を作り上げた。(https://encount.press/archives/390428/)
〇撮影時、大雪の警報が出た際には、スタッフだけではなく桐谷健太や中島健人などキャストも含めて雪かきをしたが、二宮和也は一人だけ手伝わなかった。(https://2022.tiff-jp.net/news/ja/?p=59965)
○中島健人は、役作りで人生で初めて丸刈り姿になり、体重も2週間で10キロ落とした。川でのシーンは極寒で、映画人生の中で1、2位を争う辛い撮影だった。(https://mdpr.jp/interview/detail/3490232)
〇北川景子は会見で希望をもらった言葉を聞かれ「DGDG」と返答。「出演した作品を夫に見てもらうと、”DAIGO大号泣”と言ってくれる」とノロけた。(https://eiga.com/news/20221108/16/)
○本作の公開を記念して、コミック『ラーゲリ〈収容所から来た遺書〉』が無料で配信中。(https://bunshun.jp/category/lageri)
〇犬のクロが船で帰国する日本人兵を追って氷海に飛び込むのは実話。(https://hitocinema.mainichi.jp/article/v0odwcpss8z)
○原作者の辺見じゅんは「遺書」の存在を知り、3年をかけて全国をまわりシベリア抑留を調べ上げ、原作を作り上げた。(https://hitocinema.mainichi.jp/article/8dkpuwnfmw)
○ リアリティを求めた製作サイドは、新潟県の山間約1万平方メートルのスペースにオープンセットを組み、抑留経験者から話を聞き材質や形状を割り出し、白樺やダケカンバを北海道などから計100トン近く取り寄せた。(https://eiga.com/amp/news/20221208/17/)
〇ロケ地は、新潟県湯沢町苗場スキー場や茨城県つくば市ワープステーション江戸など。ワープステーション江戸には満州の街並みが再現された。(https://marukanblog.com/lageri-love-movie/)
○ 二宮自身の発案で、本作から学校教材用のDVDが制作された。二宮本人がナレーションを務めている。(https://eiga.com/amp/news/20221202/8/)
○ ラーゲリはロシア語で「キャンプ」という意味で、本来ポジティブなワード。日本では「収容所」と訳され、つらい記憶を呼び起こす悲しい言葉となる。(https://www.newsweekjapan.jp/stories/culture/2022/12/post-100288_1.php)

◆概要
【原作】
辺見じゅんによるノンフィクション小説「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」
【監督】
「糸」瀬々敬久
【出演】
二宮和也、北川景子、松坂桃李、中島健人、桐谷健太、安田顕
【プロデュース】平野隆
【公開】2022年12月9日
【上映時間】134分
【主題歌】Mrs. GREEN APPLE「Soranji」

◆ストーリー
第2次世界大戦後の1945年。シベリアの強制収容所に抑留された日本人捕虜たちは、零下40度にもなる過酷な環境の中、わずかな食糧のみを与えられて重い労働を強いられ、命を落とす者が続出していた。そんな中、山本幡男は日本にいる妻や子どもたちのもとへ必ず帰れると信じ、周囲の人々を励まし続ける。山本の仲間思いの行動と力強い信念は、多くの捕虜たちの心に希望の火を灯していく。


◆以下ネタバレ


◆涙
生きる糧だった、妻と成長した子供に会う夢を絶たれた相沢が自暴自棄になって叫ぶ“もう生きてる意味もない”に涙。山本の死の知らせに人目もはばからず泣き叫ぶモジミに涙。山本の遺書を一心に記憶する仲間達の友情にも涙。それを一言一句忘れず、涙ながらに家族に伝えるその想いに涙。日本人を追って海に飛び込むクロにも涙(あれが事実というのがスゴイ)。涙が枯れるのではと思うほど泣かされた。

◆記憶
“生きる事をやめないでください”“生きるためには希望が必要なんだ”あの絶望でしかない抑留生活で、生きる希望を唱え続けた山本。その希望の光に照らされ生き延びた仲間たちが、“頭の中で考えた事は誰にも奪えない”と教えてくれた山本へのまさに恩返しのように決めた遺書の記憶。仲間達にとって、その記憶を一言一句忘れずに届ける事は山本を想起し弔う事であり、家族にとっては山本の想いとその生きた証、まさにその魂が届く事。モジミにとってはそれがまるで山本の帰宅だったという描写も素晴らしい。奇跡の史実の重みが、映像としてひしひしと伝わってきた。

◆伝える
壮年を迎えた顕一が孫たちに幡男の想いを伝えるラスト。二宮和也の発案だという本作から製作された教育用のDVDには、彼の言葉で「この映像を見て、どんなことが心に残りましたか?みなさんが感じたことや、調べたことを誰かに伝えてみませんか?」と綴られているそう。戦争がもたらす残酷さと、絶望の中でも希望を捨てずに生き抜く強いメッセージ。今この世にこの作品を放つのは、史実を伝える事と同時に、本作を見た者の心に希望が灯るような、前向きな気持ちになってほしい。そんな製作陣の思いが、ラストの結婚式、海辺の2人、エンドロールの笑顔に溢れた写真からも伝わってきた気がした。

◆関連作品
○「糸」('20)
本作同様、瀬々敬久監督、平野隆プロデュース、林民夫脚本作品。文字通りこの作品がきっかけで菅田将暉と小松菜奈は交際をスタート、結婚に繋がったと言われている。プライムビデオ配信中。

◆評価(2022年12月9日現在)
Filmarks:★×3.9
Yahoo!映画:★×3.8
映画.com:★×4.4

引用元
https://eiga.com/amp/movie/95937/
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ラーゲリより愛を込めて
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