この作品のことを思い出す時は、いとしのクレメンタインを聴こうと思う。こんなに重くて辛いお話なのに、思い出すのは登場人物の笑顔と涙。どんな時でも、生きてさえいれば、そこにはきっと希望がある。山本さんが訴え続けた「生きる」ということは、松田さん、相沢さん、原さんや新ちゃんを通して確実に家族や私たち観客にも伝わったんだ。
「シベリア抑留」は学生の時はただの戦争中に起きた出来事として認識していたけれど、終戦後の11年もの間こうして生きてきた人々が存在して、その人たちにも人生と生活があったという当たり前の現実を突きつけられた。「もはや戦後ではない」が1956年に発表されたけど、そんなことなかった。
キャストの皆さんがどれだけの覚悟を持って作品に臨んだのかを考えると敬意を表するしかない。こんなに素敵なキャストの皆さんで素晴らしい作品を届けてくれたことに感謝…。