吉倉光希

ラーゲリより愛を込めての吉倉光希のネタバレレビュー・内容・結末

ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

泣いた。これは、無理だ。泣く。


戦争ものだし、きっとそうなるのだとは思いつつどこかで希望を持っていたことに自分で気づいて少し絶望した。
戦争が何たるかを私はどこかで忘れていたのか。それとも、最近ハッピーエンドを望みすぎていたのか。

でも、今はそれはどうでもいいこと。
「生きる」ことはできるけど、「活きる」ことって難しい。希望を持ち続けるって難しい。
それでも「活きる」からこそ見えることってあって。
山本さんは「活きた」からこそ、「眠る場所」を超えて記憶を経由して、あの場所に帰って来れたんだろう。
「伝える」ことさえ難しかったあの時代だからこそ。

人は2度死ぬ。
1度目は命尽きた時。
2度目は、忘れ去られた時。

忘れられなかったからこそ、山本さんはまだ活きているのだと。

しんちゃんが死ななくて本当に良かったと思いました。
私の中では、あの子が死んだらちょっと耐えられなかったと思う。
何もしてないのに漁をしてたら捉えられて、何もわからずに日々を暮らしてる子。
戦争をしてないからこその明るさが救いになっていました。でもその明るさこそが残酷そのものなんだけど。

生存したいんじゃない。
生きたい。
活きたい。

そう思える、素晴らしい作品でした。

本当にありがとうございました。
吉倉光希

吉倉光希