おかみにゃん

ラーゲリより愛を込めてのおかみにゃんのレビュー・感想・評価

ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)
4.0
12/18
 第2次世界大戦後、冤罪で戦犯とされハバロフスクの強制収容所に抑留された山本幡男は、常に人間として生きるという矜持を持ち、どんな過酷で理不尽な状況でも帰国の希望を捨てなかった。そんな山本の生き方は、他の捕虜にも伝播していく。
妻モジミも希望を捨てず、夫の帰りを待っていた。
実話を元にした映画。
 
 7年前に原作を読んだとき、あまりにも心を揺さぶられたので、映画の公開がとても待ち遠しかった。
 原作「収容所から来た遺書」→映画「ラーゲリより愛を込めて」に変わっているとおり、映画のほうが感動的に脚色されてはいる。
原作で最も衝撃を受けたのは共産主義国家の収容所の実像。過酷な労働だけでなく、思想統制が強いられ、日本人捕虜同士で密告・粛清・自己批判が行われていたこと。この部分はサラリとしか描かれておらず、不満の残るところ。
でも、原作でいちばん涙腺崩壊した犬・クロのエピソードは割愛されることなく描かれていたので、映画でも涙腺は決壊。
 原作を読んでから映画でも、映画を観てから原作でもいいので、読む&観るの両方お薦めする作品。