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ラーゲリより愛を込めてのluckyfieldのレビュー・感想・評価

ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)
4.0
まず、この映画が事実を基に作られていることに深い哀しみを覚えます。
そして、ウクライナ等、戦争下にある国々の人々に想いをはせました。
人間は歴史から何を学び、生きていくのでしょう。

山本(二宮)さんが、絶望的な状況の中で、希望をもち、自分に正直に生きる姿に、同じ境遇にある周りの人々がそれぞれ影響を受けて、自分の生を見つめていきます。
相沢(桐谷)さんは、敗戦により無くなっているはずの軍隊の権力によりかかって自分を保ち、松田(松坂)さんは、恐怖から逃げる選択をした自分を卑怯者と責め、原(安田)さんは、自分を守るために仲間を売って心を閉ざすのですが、当時の人々にはそういう生き方をせざるをえなかった人が多くいたのではないかと思います。
そういう中では、新谷(中島)さんの天真爛漫な存在はあまり理解できません。当時(今もそうですが)のいわゆる「障害」者への眼差しは大変厳しく、酷い扱いをされていたと考えられます。もちろん彼の存在はこの映画に光明を与えているのですが…。
あとモジミ(北川)さんは熱演でした!が、個人的な感想としては、あまりに北川さんの存在(顔立ち?)が現代過ぎて(何というか美しすぎて笑)浮いてしまっていたように感じます。

山本さんの想いは、終盤に語られますが、これは泣かずにはいられませんでした。山本さんに救われた4人の想いと相まって、美しく強く誠実なメッセージとなり、感動しました。
ただ、山本さんが絶望感しかない状況下でも、希望を失わない心をどうして持つことができたのか、それが知りたかった。そのことこそが、もしかすると戦争等を引き起こさずにともに生きていくことができる社会を創ることにつながるのではないかと考えるからです。
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