サマータイムブルース

ラーゲリより愛を込めてのサマータイムブルースのレビュー・感想・評価

ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)
3.8
これは劇場で予告編を見た段階で絶対に見ようと決めていた作品です
なぜなら、「ラーゲリ」という言葉にビビッと反応したからです

私が小学生の時、担任ではない、おじいちゃんの先生がいました
その先生が、実際にシベリアのラーゲリに捕虜として収容されていたらしく、ことあるごとに当時の話をしてくれました
その先生は生徒から割とディスられていて、その話もまともに聞いている生徒はいなかったと記憶しています
当時の小学生にシベリアの話が通じるわけもなく、想像もできなかったのですが、子供心に強く印象に残っていたのは事実です
今さらながら、もっと真剣に聞いてりゃ良かったな、と思いました

その後、山崎豊子さんの「不毛地帯」という小説に魅せられました
内容は、主人公が総合商社に入社して、他社との企業間競争を描く内容でした
ただ、前半は、その主人公が、シベリアのラーゲリに抑留されて、過酷な体験をする、という話が長く続きます
そこで描かれていた生活があまりにも悲惨だったので、あの先生の話も思い出して、とても興味を持ちました

なので、これは見なくちゃ!!と思ったのです

シベリアでのマイナス20-40℃の世界
過酷な労働と体罰

以前、物流用の食品冷凍庫内でのピッキングのバイトをしたことがあって、その時は、とても人の居られる環境じゃないなと思いました
F1ランクで、マイナス30℃に設定されていたと思います
もちろん作業中は冷凍作業用の服やブーツ、手袋は着用するんだけど、それでも過酷なバイトには違いありません

ただ、冷凍庫は耐えられなければ外に出れば暖かいですけど、シベリアじゃ逃げる場所もないですからね
その絶望感はいくばくかと思いました

さて、二宮くんや、松坂桃李さん、安田顕さんなどの演技はとても素晴らしかったです
特にいいなと思ったのが、日本で山本幡男(二宮くん)の帰りを待つ妻、モジミ役の北川景子さん
女性からの人気がすごく高い女優さんですよね
実は私ちょっとツンとしたイメージがあって苦手な役者さんでした

でも当時のもんぺで飾らない姿や、健気に旦那さんの帰りを待つ姿がとても素敵で、好感度アップしました
ただ、どんなに貧乏な役やらせても本人の上品さは出ちゃってたかな

ところで、あのラーゲリのワンちゃん、映画見ていて唯一癒されるシーンでした
以前見たテレビ番組の特集で、ちゃんとボールを足元まで持ってこなくて苦労したという撮影裏話を聴いていたので、注目してました
果たして、なかなかワンちゃんの演技も素晴らしかったです

あと、引揚げ船をワンちゃんが氷上を走って追ってくる演出はやりすぎな気がしました

後半はまさかの展開でびっくりしたと同時に、タイトルの意味を理解しました
なるほど、そういうことだったのね

実はこれ、公開3日目の日曜日に見に行きました
満員御礼かと思いきや、意外にもガラガラで驚きました
おかげでゆったり見れたのは良かったのですが
んー、こんなもんなのかな

(追記)
ワンコが引揚げ船を追って氷上を走ってくるのは実話らしいです
フォローしてる方が教えてくれました
なので、冷めたって部分は撤回します
失礼しました