いのしん

ラーゲリより愛を込めてのいのしんのネタバレレビュー・内容・結末

ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

感動。左右と前の席、みんなすすり泣いていた。ストーリーは単純明快、内容は頭に入りやすい。実話ベースというのも高評価。どこまで脚色されているかは分からないが。ニノはこういう役似合うよなあ。
山本幡男(二宮和也)がいかに周りに愛されていたかがよく分かる。仲間が倒れた時に助けたり、常にポジティブにみんなに働きかけたりする。それをただ遠くから見ていただけだった松田研三(松坂桃李)が、「大きな病院で山本さんを診てほしい」とラーゲリ内での作業を拒否・ストライキしたのは、射殺される可能性と恐怖を押し切った勇気ある決断だったと思う。他人を感化させる山本の偉大さ。人の優しさに触れれば、自分も優しくなる。どんなに辛い環境でも、希望を見つけ諦めないこと。辛い中で俳句や野球など楽しいことを見つけ仲間と絆を深め、生きていく。
1回目の感動ポイントは、喉の癌の末期を宣告された山本が相沢光男(桐谷健太)に診断結果を説明するシーン。「そういうことです」と一通り説明をし終えた山本に対し、感情をぶつける相沢。「そういうことです、ってなんだよ。お前には待っている家族がいるんだろ。悔しくないのかよ。」と。他人の幸せや不幸を自分のことのように感情をぶつけて表現できる人ってなんて素敵なんだろう。それを見て心動かされる。
2回目の感動ポイントは、山本の遺書を暗記した4人が、代わる代わる山本の妻・モジミ(北川景子)のもとを訪れるシーン。紙に起こした遺書を渡し、4人は皆、中を見ずに暗記した文面を読み上げる。文字を残せないという状況において、遺書を暗記するという機転をきかせ、山本のために動く。山本から託された使命を果たすその姿に感動。その瞬間だけ、まるで山本が憑依しているかのようにみえる。
ラストの山本の言葉も印象的。「よーく覚えておくんだよ」。今生きているという幸せを噛み締める。楽しい時は一生忘れないように記憶に刻むように覚えようと思う。