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ラーゲリより愛を込めてのumisodachiのレビュー・感想・評価

ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)
3.0


国内映画賞に絡むのは確実というわけで観てきました。混んでたわー。


シベリアの強制収容所に抑留された日本兵たちは、終戦後も帰国できないでいた。過酷な日々の中でも山本は家族との再会を信じ、希望を捨てずに仲間を励まし続けた。そして、ようやく帰国できるかと思ったら……。

実話とのこと。極限的な状況で何年も希望を捨てずに生きた山本と、彼に感化される周囲の人々、そして山本を信じて待つ妻の姿が描かれる。

二宮和也の演技は素晴らしく、特に病に冒されてからの佇まいは非常にリアルで良かった。無口で自己肯定感が低い松坂桃李や、独特の明るさがある若者を演じた中島健人もなかなか良かった(一人だけ肌がツルツルすぎる気はしたが)。

要所要所に文学の味付けを加えた脚本と、最終的に手紙を口頭で届けるという展開が上手くリンクしていたこと、それぞれの境遇と届ける手紙の宛先との組み合わせの妙による感動の増幅といった仕掛けも上手く機能していたと思う。収容所の描写も妥協していない感じがして良かった。

クライマックスである手紙の暗唱は、それぞれの役者の声のまま全文読んだ方が良かったのではないかと思う。そういった意味では松坂桃李パートが一番グッときたかな。

ただ、終盤がなー!!ちょっとなあああああ!犬が氷河を駆けてくるシーンと、その後の現代の披露宴シーン、必要??(特に披露宴)出席者からしてみると「いや、突然新郎の祖父の話をされましても……」って感じだし、そもそも冒頭の披露宴のシーンもそんなに重要な印象がなかったから(本人たちの披露宴ならまだわかるけどさ)、無理やり作った伏線回収に見えてしまって。北川景子が空を見上げて終了で良かったんじゃないかなー。
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