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ラーゲリより愛を込めてのcinemageekのレビュー・感想・評価

ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)
4.1
ラーゲリより愛を込めて 0:00~
アフター・ヤン     6:50~

ラーゲリより愛を込めて
監督/瀬々 敬久(ぜぜ たかひさ)

感染列島(09)


64-ロクヨン- 前編/後編(16)
 7日しかなかった昭和64年に起きた7歳の女の子が誘拐殺人事件。ロクヨンと呼称し捜査が続けられるが時効が迫る。そんな中、隠された警察のミスが発覚。時を同じとしてロクヨン事件を模倣した誘拐事件が起きる

これはかなり面白かった

糸(20)
 菅田将暉、小松菜奈の共演が話題となった

護られなかった者たちへ(21)
 佐藤健、清原果耶出演の超必見映画

とんび(22)

脚本/林 民夫(はやし たみお)

 ゴールデンスランバー(10)
  伊坂幸太郎原作

 藁の楯(13)
  木内一裕原作

 永遠の0(13)
  百田尚樹原作 

 白ゆき姫殺人事件(14)
  湊かなえ原作

 糸(20)
  プロデューサーが中島みゆきの「糸」に
  着想を得て、原案・企画

 護られなかった者たちへ(21)
  中山 七里 (なかやま しちり)原作


出演/
山本幡男(はたお)
     /二宮和也
  モジミ/北川景子
松田/松坂桃李
新谷(シンタニ)/中島健人
相沢/桐谷 健太(きりたに けんた
原 /安田顕


辺見じゅん氏のノンフィクションを映画化

主要キャストの5人が素晴らしくいい演技を見せてくれた

舞台は満州ハルビン
昭和20年8月9日
日ソ中立条約を破棄して宣戦布告し軍事侵攻してきたソ連軍に山本(二宮和也)は捕まってしまう。ラーゲリ(俘虜収容所)に送られる貨物列車の中、松田(松坂桃李)は山本と出会うのだった。

ラーゲリでの暮らしは散々なものだった。
ソ連軍が捕虜管理をしやすい というだけの理由で、旧日本帝国軍の上下関係は存続させたまま。そのため一等兵でなかった松田は、元軍の上官の理不尽な命令やしごきに耐えるしかなかった。しかし山本は断固たる思いと希望を胸に、仲間の心をつかんでいく。

時は流れ、俘虜(捕虜)でありながらも、日本に手紙を送ることができるようになるのだが…



主要5人のキャストそれぞれが魅力
山本(二宮和也)は、常に希望を胸に、希望を言葉にする人。
そんな強い人。山本が周りに与える
本気で信じる心の強さ
が伝播している様子は、今の日本でも必要な部分でもある。
その一方で、弱さや絶望といった誰もが抱えてしまうようなマイナス面を描くことでより人間臭いキャラクターとして描くことに成功してる。

松坂桃李演じる松田は戦場における自身の行動から自分を罰したい人。それ故に他人と打ち解けずにいるキャラクター
その「かまってほしくない」という微妙な距離感の演技が良かった。
無機質な感覚で何となく生き、自身の過去を贖罪したいのにできない自分を嫌いそして考えることも放棄するような無機質な人間に、山本が生きることの息吹を与える

そのあたりの変化における、表情と目の演技が素晴らしい。とにかく何も考えていないような目だったものが、あるところから目標と目的が明確になり、彼は彼自身が思っていた以上に力強く生き始める

そしてラスト前にその抱え込んでいた思いが放たれるときの涙の演技は引き込まれる以上の魅力を感じる


そして安田顕
日本のドラマ映画でのバイプレイヤーとして欠かせない存在のヤスケン
onちゃんに入っていたことが信じられない

かれも山本によって生きることを思い出させてもらうキャラクター。自分自身が生き残るためだけに仲間をロシアに売ったという自戒の念。それを氷解させる山本。あの辺りの関係性の変化による表情なりの演技はさすがヤスケン



桐谷健太は嫌われ役の上官
それ故に俘虜収容所では目をつけられ、かつての部下から土足で蹴られるという部分も含めて、
嫌な上官 を熱演
その彼自身も山本によって変化する流れは一番の見どころポイントといえる


中島健人
上記の二宮和也、松坂桃李、安田顕、桐谷健太らの演技力のある素晴らしい役者によってうまく目立つ演技だった。
どこか初々しさも見せてくれたのも劇中での年齢的な部分を踏まえても良かった



そして北川景子
美しすぎる……といっても過言じゃない
そして演技が素晴らしく良かった

信じ続ける、思い続ける妻という役柄だが、それを演じるにはどうなる?と思っていたが、想像以上の演技

美人すぎるゆえに、そこは評価として下げる人もいるかもしれないが、それでも彼女の演技によってガツンと胸に来るシーンがある

生きていることを知ったときの喜び方の感情表現は素晴らしかった


非常に細かなところでの演出もよくできていた
貨物列車の中であったり、俘虜収容所での座るイチなどは、扉の周辺は若手であったりして、建物の奥となる 上座的なところに上官連中が座って偉そうにしている
というところであったり、細かなところまで計算をして撮影をしているのはよく見えた


その一方で不足しているところも多々合った
捕虜としての悲惨すぎる部分や、絶望的になる理由として捕虜ならではのハードワーク。理不尽な暴力を受けるといった「捕虜が受ける悲惨な現実」といった収容所での生活が地獄と感じられるシーンはもう少し合ったほうが良かったかもしれない


あとは衣装と俳優の歯のきれさがきになってきになって……
あれだけ過酷な環境下での衣類はもっとボロボロになっていることが多いだろうし、どのシーンでも俳優の歯が綺麗すぎるのも……
ひげだらけであったりメイクで泥だらけであったにも関わらず、歯だはいつでも白くてきれい…というのは演出的にもったいないと思う所

それさえなければもっと、この映画の世界にひたることができたのではないかと思う


二宮和也が舞台挨拶などでいった
4回ラストシーンがある
という意味合いはひじょうに的を得た者だと思う

くわえてそこに行くまでの間、徹底した淡々とした流れ
これが合ったからこそあのシーンでのそれぞれの4人の表情と達成感と思いが溢れてくるといえる。

ワンコの部分は出来杉君かもしれないが、泣かせポイントでもある


ラストのくだりは蛇足感があるかもしれない
ただ映画冒頭に繋げるという演出はうまいともいえる。

これは 
絶やしてはいけないはなしを永遠と語り継ぐという、巡りめぐる物語は、誰かへと繋げるという演出と考えるといいかもしれない

ちなみに二宮の祖父も4年間シベリア抑留されていたそうです


「本気の行動は人を変える」
ということを改めて思わせてくれる映画
必見です



アフター・ヤン

監督・脚本/コゴナダ

原作/アレクサンダー・ワインスタイン
短編小説

出演
コリン・ファレル
ジョディ・ターナー=スミス
ジャスティン・H・ミン
マレア・エマ・チャンドラウィジャヤ
ヘイリー・ルー・リチャードソン

ロボットやアンドロイドといったものが、感情や愛情といったものを持つ…というのは「ブレードランナー」でも描かれているが、この映画はそちらのマインドに近いかもしれない
どちらかというと、
故S・キューブリックの原案をS・スピルバーグが監督した「A.I.」


ごく普通にベビーシッターを人型ロボットが務める世界。
ジェイク(コリン・ファレル)も娘のミカの面倒をロボットのヤンにまかせていたが、ある日ヤンは動かなくなってしまう。ロボットとは言え、見た目は人であることや一緒に生活をしていたことからジェイクをヤンを修理するべきと考えて行動を開始する

ただヤンを中古で買ったらしく、メーカー保証もなく、修理のあてが見つからない。とあることからヤンの中にある記録媒体が見つかり、ジェイクはその中にある映像を見ることになる。
そこには人とおなじような「ある感情」がのこされていて…


ただ全てにおいて、淡々と進み、新しいものを受け入れれきれない旧タイプの人間であることを映し出している

これは 口ではジェンダーや差別のない社会をいいつつも、未だに消えない差別が明確に見える現実を風刺しているようにも見える

クローンを異質なものとして観る主人公と、クローンを家族として迎えてるお隣さんなど
その社会の縮図を映画の中でも表現していると言える


「無がなければ有も存在しない」
とった台詞があるように、哲学的なセリフが散りばめられているのもポイント

公式サイトにもあるように、監督は小津安二郎の信奉者とのこと
それを踏まえて見に行くと納得の出来栄えである

シナリオの中での会話劇に等しい部分などはまさにそうとも言える
静かに静かにそして深く深く進んでいくシナリオなどは、まさに小津安二郎テイストと言える

それ故に途中で寝てしまう人も多数ww

いや わかる 眠くなるのは判る
自分も途中で寝てしまいそうになったのも事実
ドリンクを口に含むことで持ちこたえたが……中盤までは厳しいところも…

90分そこそこの映画だが、120分に感じたのも事実だ



日本人アーティスト
UA の水色 が劇中に使われたり
坂本龍一の音楽であったりと もうすこし日本で話題になっても良かったかもしれない


https://www.youtube.com/watch?v=JSzUrcLYZYI
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