遺書というと、今の時代は〝遺された財産についての分配指示書〟という意味合いの方が強いと思う。実際、私も昨年末に父を亡くしたのだけど、遺書にはそれだけしか書かれていなかった。なので、本作には温かみを感じる。
しかしこの映画は、主人公がシベリアに抑留される実話なので、序盤とラストを除けば寒々としている。昔から聞かされてきたとはいえ、収容期間がこれほど長期間に渡ったケースがあるというのは初めて知った。
どうもソ連(ロシア)軍には残忍なイメージがついてまわって仕方がない。ある方がウクライナ戦争について「ロシアは昔から軍人を大切にしない。だから、彼らの振る舞いも横暴になるのだ」と解説していたことを思い出した。
しかしそんな過酷な状況のなかにも友情があり、そして希望もある。とても美しい逸話で、悲しい話であるものの、最後は癒された。
[オリジナル音声+日本語字幕]2024/01/29 WOWOWシネマ(2023/09/17録画)